カイマはツバサと違って先祖が使っていた武器防具は持っていないのだが、

彼にはアレフガルドの守護妖精の加護を受けており、

それによる強力な攻撃力・守備力を備えていた。


そして-----

予言の通り、勇者の子孫のカイマは、アレフガルドを闇に包んだ竜王を打破したのであった。


カイマは床に横たわっている翼を持つ大きな竜-----竜王の本当の姿の翼竜をしばらく眺めていたが、

やがて今度は、竜王の味方兼ボディーガードのニコラスの姿も見て、彼はつぶやいた。

「ツバサ・・・カタキは取ったよ・・・」



コツ、コツ、コツ・・・

竜王の城、いや、今となっては主(あるじ)の居ない大きな城をカイマは歩いていた。

城の中は竜王の手下だったモンスターは、もう居ない。

カイマは静かな城から、出口を目指し歩いていた。

歩き続け、やがて城の1階に着いた時に、彼は気づいた。

「リレミトの呪文使えばすぐに出られたっけ・・・」

静かになった城を見回しながら出口を目指して歩いていたので、

彼は呪文で脱出する事をすっかり忘れていたのだった。


竜王の城を一歩出たカイマは、入った時と『外の明るさ』の違いに目を細め、

「ああ・・・闇を破って光を取り戻したのを改めて感じるなあ・・・」と、つぶやいた。

彼は明るくなった空からの光を浴び、伸びをした。


竜王を打破して光と平和と取り戻した、ロトの称号を受けた勇者の子孫のカイマ。

彼はラダトーム城には行かなかった。というのも-----

「オレはツバサと違って、ラダトーム城の王様から竜王を倒して平和を取り戻す依頼を受けたわけじゃないからな・・・」

彼は竜王を打破する事が目的だったのはもちろんの事だったが、

真の目的は、勇者として旅に出たものの志半ばで倒されたツバサのカタキ取りなのであった。


-----それは同じ勇者の子孫として、戦いに行きたい、という気持ちでもあった。


ラダトーム城に行かなかった理由は他にもあった。

ラダトーム城の者はツバサが倒されてしまった事は知らない。

いや、知らせていなかったのは、もちろんの事だが、真相を知って戻れた者はいないからだ。

「ましてや、ローラ姫はツバサが戻ってくるのを待ってるからなあ・・・本当の事は知らせたくないんだよな・・・」


竜王を倒した者はツバサではない事を表向きにせず、カイマは新たに宛てもない旅に出発したのだった。

これによりカイマは、『勇者は竜王を倒して平和を取り戻したが、城へは戻らずに新たな旅に出た』

という事にしたかったのだ。

<おわり>


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