翌朝。
ツバサもローラ姫も窓の外のスズメの声で目が覚めた。
ローラ姫はベッドから飛び起き、ものすごい勢いで窓の方に駆け寄って行った。
「朝よ!朝だわ!綺麗な青空!鳥が飛んでるの!」
興奮気味で彼女が言った。
昨日まで洞窟の奥に閉じ込められていたローラ姫は、綺麗な朝を再度迎えられた事を喜び、小躍りした。
「これからは毎日見ることができますよ」
ツバサが言った。
宿のカウンターでチェックアウト時に、店主はこう言った。
「昨夜はお楽しみでしたね」
宿屋の店主は昨夜、宿の外周の見回り中に、ベランダに立って楽しそうに話をしているツバサとローラ姫の姿を見つけたのだった。
「はい!昨夜は夜空を見ながらツバサ様とおしゃべりしてました。時がたつのを忘れるほど楽しかったですわ」
楽しそうにローラ姫が言った。
「さあ、ラダトーム城にもどりましょう」
ツバサはそう言ってローラ姫を抱え、マイラの村を出たのだった。
村を出て数時間後-----
「今考えたら、洞窟を出てルーラの呪文でラダトーム城に戻ればよかったですね」
ツバサが言ったのだが、ローラ姫は思わぬ言葉を返したのだった。
「ええ。私もそう思ってたのですが・・・」
お・・・思ってたのかっ!言ってくれれば2人で宿に泊まるなんて事しなかったのに!
ツバサが驚いたのだが・・・
「でも、すぐにルーラで戻らなかったからこそ、ツバサ様と楽しい夜を過ごせましたし、
夜空や朝の綺麗な空を眺める事が出来たのですから!それに・・・」
「・・・それに?」
「さらわれた、という事もあって、今後は城から出られなかったりとか、見守りが居るとかガチガチな生活になると思うので、
その前にお泊りをしてみたかったんです・・・」
「そ・・・そうなんですか・・・」
驚きを隠せない状態でツバサが言った。
ツバサは、勇者の子孫とはいえ王族等の地位は無い平民である。
平民にとっては王族の考えや気持ちはわからないのであった。
とはいえ、自由に行動してみたいという気持ちは、わからない事もないのだが-----
「ラダトーム城が見えてきましたよ!このまま行きますね!」
小走りでツバサはお城の方へ向かった。
「走らないでツバサ様!」
ローラ姫がそう言ったので、すぐさまツバサは立ち止った。
「あ、はい!」
走ると抱きかかえてるローラ姫が揺れてしまうから、とツバサは思ってたのだが、
真相は違っていた。
-----もっと長くツバサ様と一緒にいたい・・・だから急がないで・・・
ツバサは、その気持ちには気づいていなかった。
その気持ちに気づくのは、もう少し後になるでしょう・・・
<終わり>
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