「早く戻らなくちゃ・・・」
ルイージがつぶやいた。
今もまだ、魂が体から離れた状態である。
ルイージの魂は、仰向けになり、ゆっくりと体へ戻ろうとしたが-----
「・・・なんだか視線を感じる」
彼は、その視線がどこからなのか、分からなかった。
しばらく辺りを見回してみると、少し離れた場所の格子窓の向こう側に、ルイージの方をじっと見ている者がいるのを発見した。
月のような形をしたモンスター、カーミラであった。
思わずルイージは大声をあげた。
というのも、今は霊体の状態なので、魂側も体側も攻撃されたら体に戻れなくなる可能性があるからだ。
しかしカーミラは、ルイージが驚いたのを見ると、笑い声をあげて去っていった。
別に攻撃するつもりではなかったらしい。
「は、早く戻ろう・・・」
やがてルイージの魂は、体に戻っていった。
「やっと戻れた・・・」
自分の体で動ける事を確認し、ルイージは起き上がろうとした。
-----しかし。
「さ・・・寒い・・・」
ルイージはそう言うと、ガタガタと震えはじめた。
もともと、ここドラキュラ城自体は廃城で地面も石畳なので、外の気温よりかなり寒いのだが、
彼が震えているのは別の理由からであった。
「・・・魂が体から離れている間に、体温が下がってたのかも・・・?」
「寒い・・・」
ルイージは石畳の上に座り、体を震わせ続けていた。
体を震わせるのは、体温を維持する意味でもある。
しかし、一向に体温が上がる様子がなかった。
それどころか、眠気が襲ってきた。
「眠い・・・」
彼は両手で顔を軽くたたいた。眠らないようにするためだ。
「寝ちゃだめだよ! 起きて起きて!」
そう言って両手だ顔をたたきながら、自分に言い聞かせてみるも、座っている姿勢が崩れ、石畳の上に横たわってしまった。
そして-----そのまま眠ってしまった。
----こんな場所で眠ってしまうなんて! モンスターが来たら応対できないよ・・・!
『ピンチになったら助けが行くように手配しておくから、安心しなさい』
ドラキュラ城に行く前に、オヤ・マー博士が言っていた言葉である。
その『助け』が来たのは、さっきの大柄な人(シモンの事)かな・・・
眠っているルイージは、そう思っていた。
わん! わん!
どこかから犬の鳴き声がする。
わん!わんわん!
犬は城の中をあちこち走った。
やがて眠っているルイージを見つけると、顔を激しくなめ始めた。
「うわっ! くすぐったい!」
ルイージは、驚いて目を覚ました。 そして起き上がり、辺りを見回し、驚いた。
「オバ犬!? 来てくれたんだ!」
そう。 来てくれた犬とは、オバ犬であった。
「そうかそうか・・・ありがとう」
ルイージは、オバ犬を両手で力いっぱい撫でまわした。 そして、立ち上がる。
「おかげで帰れそうだよ。 ・・・でもね」
「?」
オバ犬が首を傾げた。
「今、金の骨も持ち合わせがないんだ。 来てくれるとは思ってなくてね」
ぽんぽんと軽くオバ犬の頭をたたきながらルイージが言った。
その言葉に対して、オバ犬は首を横に振った。 別にいいよ、といった反応のようだ。
「そうかそうか。 ごめんね。 帰ったらごちそう作ってあげるね」
わん! わん!
オバ犬が返事した。