---- ここは、どこなの ----


パティは、知らない場所にいた。

いや、全く知らない場所ではなく、見たことあるような、ないような、記憶が曖昧な場所であった。


そして目の前には、映像が映し出されるかのように、どこかの風景が映し出されていた。

その場所は、見覚えがある。 マリオカートのウーフーアイランド2のコースだ。

「なぜここから、それ見えるの・・・。 戻れるなら戻りたいわ」

今日はレースが行われない日なので、コースには、レース会場のメンテナンス作業員以外は誰も入らないはずだった。


映し出される風景は、移動していき、やがてその場所は、絶叫の滝の前になった。

「ああ・・・この場所は・・・ 」

レース中に、パティが故意に飛び込んだ場所だ。

その場所に、人が何人か現れた。

「何かあったのかしら。 いや、あるから、来てるのよね。 ・・・それ以前に、私が飛び込んだ場所でもあるし・・・ 」


そこにいる人達は、黒い服装だった。 黒色じゃない服装の者もいるが、全体的に黒っぽい服の色であった。

手には花束を持っている者もいる。

「花束?」

パティは、何が起きているのかは、わからなかった。

しかし、そこにいる人達のうちの1人の女性を見て驚いた。

「やだわ、どうしてこんな所にいるの?! 」

その人は肩を震わせ、こう言った。

『お姉ちゃん・・・。 どうしてあんな事したのよ・・・ 』

その女性は、パティの妹だった。

「あんな事って何よ!? 」


花束を持ってる者は、絶叫の滝前の柵の横に、次々を花束を置き始めた。

ここはパティだけでなく、たくさんのレース参加者が飛び込んだ場所なのだ。


パティは、「何よあれ。 まるでお葬式じゃないの」と、ため息をついた。

まるでお葬式、というより、本当にお葬式そのものといってもおかしくない光景だ。



少し前に、自分に影がない事に気づいた。

自分は帰る手立てがない。

こちらの世界は、自分が住んでいたB国から見て異世界。


この3つを踏まえて、パティは改めて考え始めた。



わ・・・私・・・。

・・・もしかして・・・

ウーフーアイランド2のコースで故意に絶叫の滝に飛び込んだのが原因で----

「でも、あの場所に飛び込んだのは私だけじゃないわ!

 それに、うまくいって、レイクピア・キャッスル横にジュゲムに運ばれた人だって多いのよ!

 ・・・もちろん、失敗した人も多いけど・・・ 」


パティは膝をつき、両手で顔を伏せた。

自分に起きている事を認めたくないのだ。

しばらくして顔を上げると、彼女は こうつぶやいた。

「ヨシュアは、どうしたのかしら・・・ 」

パティと同類ならば、同じ状況になっているはずなのだ。

「そういえば、こっちの世界に来た時は、ヴィラ・コソコソで倒れてたって言ってたわね・・・ 」


「オレの場合、ショートカットとして飛び込んだけど、失敗したんだ」

背後から突然声がしたのでパティは驚いた。

「ヨシュアいたの? 」

「いや、今パティがいるところに着いたところだ」

「そうなんだ・・・。 ところで、失敗したって、どういう事? 」

「そもそもあのショートカットは、右向きにダイブするんだけど、オレの場合、飛び降りる瞬間にバランスを崩してとっさにハンドルを左に切ってしまったんだ。

 左方向にはヴィラ・コソコソがあるから、多分オレの場合は、それによって、こっちの世界ではヴィラ・コソコソで倒れていたという事になってたんだな」


パティ達の目の前に映像のように映っている、お葬式の光景が、スーっと消え始めた。

そして2人は白くて強い光に包まれた。

「さあ、そろそろ行かなくてはな」

ヨシュアが言った。

「行くってどこに? 」

パティが聞いた。

「もう、聞くまでもないだろ」

やがて2人の背中に、白い羽根が生え始めた。そして宙に浮き始める。

「きゃっ! 」

パティが転倒しそうになり、ヨシュアはパティの手を掴んだ。

少々強引にパティの手を引きながら、彼は「気を付けろよ」と言った。

宙を飛ぶ2人。 お互い、色々考えてるであろう。


「パティ」

ヨシュアが言った。

「なあに」

「もし、今度一緒にレースに参加する事があったら・・・今度はズルをしないで、正々堂々としような」

「・・・はい」

「たとえズルする人が大多数を占めていても、だ。 他の人がズルするからと、自分まで同じ事する必要はない」

パティは、ヨシュアの言葉に首を縦に振った。

「必ずだぞ」

ヨシュアはそう言うと----そっとパティの手を放した。

「あ!待って!」

パティはそう言ったのだが、ヨシュアは、そのまま行ってしまった。

彼はパティを置き去りにしたのではない。

もともとヨシュアの方が、パティより前にこちらの世界に来たという事もあったので、先に行ってしまったのだ。


ひとりになってしまったパティだが、もう迷う事はない。

彼女は、「また会いましょうヨシュア・・・ 」とつぶやきながら、行くべき先へと進んだのだった。




さて。 マリオカートでウーフーアイランドを模したコースは、相変わらず『ショートカット』をする者が続出したが、

パティやヨシュアと同じ道を歩んだ者は多かった。

それは-----本物のウーフーアイランドによる、自分を模した土地で不正を働く者への、『怒り』なのかもしれません。


<おわり>



読んでいただき、ありがとうございます。

(バグショートカットは、対策が2012年5月15日に施されており、現在はできません)


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