まず初めに。
この小説は悲劇的内容です。
苦手な方はご遠慮下さい。
ピクミン側視点小説で、タイトルは『日没』です。
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場所は『まどいの水源』。
ここはかつて「大水源」と呼ばれていた場所だ。
ピピーッ!
ピクミンをオニヨンと初期ドルフィン号(以下『初期』は省略します)に戻す号令が、まどいの水源に響いた。
その号令とともに、隊列のピクミンたちがオニヨンとドルフィン号に戻っていく。
そして、隊列のピクミンたちが乗り込むと、オニヨンとドルフィン号は、上空高く上がっていった。
「ああっ!オニヨンが飛んでいくよう!」
そう言ったのは、フリーのまま日没までに、リーダー(オリマーとルーイ)に回収されずに
置き去りにされてしまった赤ピクミンだ(以下、『赤』と表記)。
「はぐれたままに されちゃったんだな・・・」
同じくフリーのまま日没までに回収されなかった紫ピクミンが言った(以下『紫』と表記)。
「僕たち、置き去りにされたの?」
こちらも2匹と同じくフリーのまま日没まで回収されなかった青ピクミン(以下『青』と表記)が言った。
日没から夜明けにかけての暗い時間帯は、昼はあまり行動しない夜行性の外敵がうじゃうじゃいる。
オニヨン(もしくはドルフィン号)に戻れなかったピクミンは、翌朝同じ場所に来ても姿を現さない。
これは夜の間に夜行性の外的に喰われたり攻撃されたりした事によるものだ。
辺りはすっかり真っ暗である。ほとんど何も見えない。
どこに外敵がいるのかわからない----
「いやだ・・・おうち(この場合オニヨンを指す)に帰りたい・・・」
肩を落として弱々しく赤が言った。
「それは僕も同じだよ。」
紫が言った。紫の場合はオニヨンではなくドルフィン号なのだが。
「少なくとも明日、この場所にオニヨンが着陸するまではは外敵から逃げるしかないな」
青がつぶやいた。
しかし、明日もこの場所にオニヨンとドルフィン号が着陸するとは限らない。
明日は別の場所に着陸する可能性だってあるのだ。
その場合、彼らはオニヨンとドルフィン号がここに着陸するまでの間中、外敵から逃げ回らなくてはならない。
ざっ、ざっ、ざっ・・・・・。
暗闇から足音が聞こえてきた。
「何だろう?」
足音が、だんだん近づいてくる。
その姿がはっきり見えたところで、3匹は大声を上げた。
「クマチャッピーだ!」
「逃げるぞ!」
クマチャッピーは、チャッピー系の中では外装が硬く、比較的体力もあり、
獲物を見つけたらとことん追いかける生物だ。
ばたばたばたばた!!
どたどたどた!
だだだだだっ!
3匹が一斉に走って逃げはじめた。
しかし、逃げ始めてそんなに経ってない頃、
「ぎゃああああ!」
と背後から悲鳴が聞こえてきた。
クマチャッピーが紫をくわえてるのだ。
紫は、足が遅い。ましてやここにいる紫は葉っぱ状態なので、なおさら遅い。
クマチャッピーは、紫をくわえたまま、上を向いた。
「わああああ!くっ、喰われ・・・」
喰われる、と言い終わることもなく、紫はクマチャッピーの餌食となった。
「なんとか振り切れたようだな・・・」
赤が言った。
「なんだか あいつ(紫の事)を おとりにして逃げたような感じだな」
後味の悪いような感じで青が言う。
実はこの2匹、クマチャッピーが紫を立ち止まって食べている間に逃げ切ったのだ。
少々疲れた感じの2匹だが、疲れたなど言ってられない。
この星の掟は弱肉強食。
彼らは昼間は、リーダーを先頭に集団で行動する「強食」側でもあり、
強い外敵に対しては集団でも「弱肉」側にでもなるのだが、
リーダーも他の同種仲間もいない今では「弱肉」側でしかない。
「早く夜が明けないかなあ・・・」
2匹の気持ちは同じであった。
突然、ゴォーッ!という音がした。
その音と共に、辺りが少しだけ明るくなる。
「何だ!?」
音の方向に向いた。
そこにいたのは、炎を吐く生物、ブダドックリだった。
「うわあ・・・火だ、火だ・・・・逃げなくちゃ・・・」
青がおびえながら言った。赤以外は火に弱いのだ。
しかし、ブタドックリの火炎放射の射程距離は長い。
その場ですぐに逃げるといっても、限界があった。
ゴォーーーーー!!
再びブタドックリが火を噴いた。
「わああああ!!熱い!熱いよう!」
青が火傷を負いながら走り回った。
頭の花が燃えている。
この火はリーダーがいる状態なら笛で呼んでもらえば助かるのだが、
今はリーダーがいない状態なので、助かる方法はない。
「火が・・・火が・・・」
やがて青は、その場に倒れた。
そして動かなくなり、姿は魂(たましい)に変わり、天に向かって行った。
ゴォーーー!!
再びブタドックリは、火を噴いた。
赤は火攻撃を受けても平気なのである。
逃げるだけじゃなく、こいつの場合は倒した方がいいかも・・・?
そう思った赤は、ブタドックリに立ち向かっていった。
ポカポカポカポカ!
ブタドックリの足に捕まり、赤は攻撃を始めた。
時間はかかるものの、1匹だけでも倒す事は可能である。
やがて、ブタドックリは、悲鳴を上げて倒れた。
倒れると同時に、赤と黄色の『5』のペレットが現れた。
「5のペレットだ・・・運べないや。もし運べても、今はオニヨンがいないから意味ないしな・・・」
疲れたなあ・・・早く夜が明けないかなあ・・・
ふらふらと歩き続ける赤だった。
やがて、空が ほんの少しだけ明るくなった。
「もうすぐ夜明けなんだな!逃げ回るのも、あと少しだけだ!」
空と同様、気分も明るくなってくる。
だんだん明るくなり、ついに朝になった。
やったあ!これでみんな(他のピクミンとリーダー)と合流できるぞ!
赤は気分が弾んだ。
疲れなんてどこかに行ったようだ。
軽い足取りでオニヨンとドルフィン号の停留スペースに向かっていく。
・・・・しかし。
待てど暮らせどオニヨンもドルフィン号も降りてこない。
「どうして・・・?」
実は今日はオニヨンとドルフィン号は、別のエリアに降りていたのだ。
----また、逃げ回らなくちゃいけないの?
赤は空を見上げてつぶやいた。
彼は別エリアにいるオニヨンが、この場所に降りる事を願っていた。
いやだよぅ!ねえ!降りてきてよ!
だんだん辺りが薄暗くなってきた。日没が近いのだ。
がさがさがさっ!
夜行性の生物が、赤のいるオニヨンとドルフィン号の停留スペースにやってきたのだ。
その生物とは---チビクマ2匹だった。
チビクマもクマチャッピー同様、獲物を見つけるとしつこく追いかけ回す性質がある。
チビクマは、赤の姿を見つけると、小走りで向かってきた。
うわぁ・・・今日も逃げ回らなくちゃならないのか!?
赤は逃げ始めた。
はあ・・・はあ・・・また、夜を逃げ回ってすごさなくちゃならないのか・・・。
彼はチビクマから逃げるのに必死だった。
しかし、逃げることに必死だった彼に、思いもがけない音が響き渡った。
・・・・・ばしゃーん!!
水場に転落してしまったのだ。
激しくもがきながら、赤は叫んだ。青以外は水に弱いのだ。
「うわああああ!お、溺れるうっ!」
叫びながら必死でもがく。
普段ならリーダーが笛を吹いて救助してもらうことができるのだが、
今はリーダーはいない。
リーダーではないが、もがいている彼のところに来る者がいた。
先ほどから赤の事を追いかけていたチビクマだ。
チビクマは、水に入っても平気なのである。
「うわあああ!いやだあああ!来ないで!」
もがきながらも赤は抵抗したものの、チビクマは大きな口を開けて近づいてきた。
「いやあああああーーっ!!」
激しい水しぶきの音がした。
その水しぶきの音は、だんだん小さくなっていき---
やがて静寂が訪れた。
翌朝。
ゴォーっという音が、このエリアに響き渡った。
ドルフィン号とオニヨンが、この地に降りたのだ。
いつもどおりにリーダーがピクミンたちをオニヨンから出し、引き連れていく。
ピクミンたちも、リーダーの後ろからついていく。
彼らは昨日と一昨日に起きた事の実態は知らない。
もちろん、そのような惨劇は昨日と一昨日のこの場所だけでなく、
この星で毎日起きている事なのである。
<終わり>
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ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
日没までに回収できないピクミンを見て思いついた小説です。
実際には「日没で失ったピクミン」の一言で片付けられてるけど、
日没までに回収できなかったピクミンたちはこんな感じになっているんだろうなあと
思って作った小説です。
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