『攻撃力は、かなり高いけど、大ダメージを受けてしまう』と、

『ダメージを受けないが、そんなに攻撃力は高くない』

の、2つの選択肢があったら、どちらを選びますか?

また、ダメージを受けるのが自分自身ではないのならば、どう考えるだろう。



「・・・。」

ポケモントレーナーの少女が、ベンチに座って考え事をしていた。

彼女が考えてた事は、昨日の出来事である。



場所はポケモンリーグ。 チャンピオンのシロナと少女が対戦していた。

少女の名前はアキ。

今、バトルフィールドにいる手持ちポケモンはゴウカザル♂だ。

アキの手持ちポケモンで戦えるのは、今バトルフィールドにいるゴウカザル♂だけで、あとは戦闘不能の状態であった。

一方、対戦相手のシロナも、1匹を除いて戦闘不可能状態だった。

つまり、お互い最後の1匹の状態なのである。

シロナが現在戦闘に出しているポケモンはルカリオだった。

お互い格闘タイプのポケモン同士だが、ルカリオは鋼タイプなので、炎タイプのゴウカザルにとっては有利かもしれない。

しかし、相手はチャンピオンなのである。 通常のバトルの考えは、ほとんど通用しないだろう。

選択ミスは、即敗戦につながる。 なので手早く大きな攻撃をかけたい。

「サン。 手早くいくわよ!」

サンとは、バトルフィールドにいるゴウカザル♂のニックネームである。

アキのその言葉に、サンは大きくうなずいた。そしてシロナのルカリオの方をじっと見た。

「サン・・・フレアドライブ!」

直後、シロナの声がした。 ルカリオへの攻撃号令だ。

「ルカリオ、地震よ!」

シロナのルカリオより早く、アキのサンが先に攻撃をした。

炎の鎧をまとい、サンはルカリオに突進していく。


----激しい音が、辺りを包んだ。


サンの攻撃を受けたルカリオは、吹っ飛ばされ、ドサッと大きな音とともに、床に叩き付けられた。

「立ち上がりなさい、ルカリオ!」

シロナの声が飛んだ。

その声に応えるべく、立ち上がろうとしたルカリオだったが、立ち上がれずに、倒れてしまった。

それを見た審判が、「ルカリオ、戦闘不能!」の判断を下した。


しかしサンの方も無傷というわけではなかった。

フレアドライブは相手に大ダメージを与える。 しかしその代り、自分もダメージを受けるのだ。

サンはフレアドライブの反動により傷だらけで、かなりつらそうな表情をしている。

そして、ガクッとひざをついた。

このままサンも倒れて戦闘不能になると、両者のポケモンが全部倒れたという事になり、無効試合になってしまう。

その場合、試合はなかったという事になるのだ。 もちろん、後日に再度試合をする事はできる。


しばらく静かな時間が流れた。

やがてサンは少し前かがみになったかと思うと、ゆっくりと立ち上がり始めた。

そして両足を地面につけた。

倒れない事を確認すると、審判は「ゴウカザル戦勝! よってこの試合、アキの勝ち!」と言った。


ワーーーー!!と、歓声が上がった。



「・・・」

昨日のポケモンリーグでのチャンピオン戦を思い返し、アキはため息をついていた。

早く片を付けたいという事で、アキはサンにフレアドライブをするように号令をかけた。

しかしフレアドライブは相手ポケモンに大ダメージを与える反面、その反動で技を使った側も大ダメージを受けるのだ。

アキは、シロナのルカリオにフレアドライブをした直後のサンのつらそうな表情を思い出した。

もちろん、バトルが長引いたり相手が強敵だったりして大ダメージを受けたりして、つらそうな表情をする事もあるのだが、

今回は、それとは違い、自分が指示した技による大ダメージなのである。

「・・・」

アキはベンチから立ち上がった。そしてひとつのモンスターボールを取り出した。

「出てきてサン!」

モンスターボールから出たサンは、バトルかな、それとも『かいりき』技で岩か何かを動かすのかな、と、わくわくした様子でアキの方を見た。

「サン・・・」

アキはそう言って、サンの肩に手を置いた。

そして「バトルで使う技を変更するわね」と言って、鞄から1つの技マシンを取り出した。

今はサンが使える技の数は4つあり、覚えられる最大数に達している。

なので、新たに技を覚えるには既に覚えている技を忘れさせる必要がある。

「忘れさせる技は、フレアドライブなの」

アキのその言葉に、サンは一瞬動きを止め、アキの顔を覗き込んだ。

-----その技は、攻撃力の高く、相手に大ダメージを与えるものだよ。 それを使えなくなるのは嫌だよ。

そう言いたげな様子だった。

「うん。 確かに攻撃力は高い技だけどね、この技を使うと大きなダメージを受けるのよ」

-----ダメージを受けるのは俺だぞ! アキは気にするな!

自分を指さし、サンは言った。

お互い言葉は人間には通じないのだが、アキはわかっていた。

「サン・・・わかって。 それにどちらにしろ、いずれは使う技を変更したりする事があるんだから」

アキがそう言ったが、サンが嫌がっているのがわかった。

「・・・あのね・・・」

静かにアキが話始めた。

「何も攻撃力が高い、イコール強いってわけじゃないのよ」

その言葉に、サンは急に黙り始めた。

「確かに、攻撃は最大の防御って言うわ。 でもね、防御なくして攻撃なし、とも言うの」

-----・・・・・・。

「攻撃だけ考えちゃだめなの」

-----・・・・・・。

「時間をかけて、強くなりましょ。 サンだけじゃなく、私も」

その言葉にサンは、首を縦にふった。

アキは両手をサンの肩に乗せ、顔を近づけ、笑顔で「理解してくれてありがとう・・・」と言った。


アキは、技マシンを、そっとサンの頭に当てた。



1、2の・・・ポカン!

サンは、フレアドライブを、きれいさっぱりに忘れた!

・・・そして、

サンは、新たな技を覚えた!


<おわり>


[追加説明]
この小説は、自分のポケモンがダメージを受ける代わりに相手ポケモンに大ダメージを与える攻撃技を使う事を否定するものではありません
管理人Ruiは、ポケモンの育て方・戦わせ方は、人それぞれだと思っております。

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