マリオはしばらく呆然としていたが、ダーズの声で我に帰った。
『おいヒゲの奴!』
「・・・なんだ?」
『お前がここに来た目的は、あの赤い服の男の母体を助ける事だろう?』
-----俺も“赤い服の男”なんだけどな・・・
そんな野暮な事は口に出さなかったが。
「・・・そうだけど」
言葉少なげに、マリオは答えた。
『目的の赤い服の男は、奥にいるぞ。・・・勝手に連れていけ!』
「ああ、そうさせてもらうよ」
マリオはそう言って、奥の方へ進んでいった。
ガサガサガサッ・・・
マリオが森の奥を進んでいく。
やがて彼は、台座のような足場に、人のような物が、ツタ状の植物に、がんじがらめに縛られている状態の物を発見した。
実はスピリットを倒しても(正確には今回は倒してないが)、母体側を助けるには、もうひとつの試練があった。
救助対象を助けるには、ツタ状の植物に、がんじがらめに縛られている者を解放しなければならないのだ。
「イサムか・・・?」
ツタ状の植物に、がんじがらめに縛られている者に、マリオは声をかけた。
しかし、声をかけられた者は、返事をしなかった。
「いま、縛めを解くぞ・・・」
母体側を縛っているツタには所々にトゲがあり、身体の弱点の場所には大きなトゲが生えていた。
これは、強引に母体側を引き抜いて解放しようとするのを阻止する役割になっている。
「大きなトゲが生えてるのは、首筋辺りと、胸部の向かって右寄り(本人から見て左寄り)だな。ここは気を付けないとな」
Mii種族は身体の内部の仕組みが人間に近い。なので身体の弱点も人間と同じなのである。
ところでマリオはツタを切るような刃物状の物は持っていない。
そして、このツタは、剣などの刃物状の物で簡単に切れるものではなかった。
「ちょっと熱いかもしれないが・・・」
マリオはそう言うと、たくさんある縛めのツタのうち、母体側の腕の辺りを縛ってる物を掴み上げると、ファイアーボールで焼き始めた。
「・・・熱い・・・」
母体側は、うわごとのごとく反応した。
「・・・すまんな。でもな、今焼いているツタが、もうすぐ切れそうだ」
バチバチッ!
大きな音を立て、ファイアーボールで焼いていたツタは焼き切る事ができた。
「よし、ここからツタをほどくぞ」
その焼き切った部分から、順にツタをほどいていったのだが-----
がんじがらめに縛られている縛めは、そう簡単には、ほどけなかった。
そこでマリオは、別の方法でツタを切り始めた。
先程ほどけたツタも、やがては別のツタに妨害された形で、ほどけなくなっていたのだ。
そこでマリオは、ぼどけなくなった部分をマントで攻撃をした。
バシッ!
マント攻撃により、ほどけなくなった場所が緩んだ。
この部分を手掛かりにして、彼は縛めのツタを一気に解き始めた。
バラッ!!
そんな音を立て、母体側を縛めていたツタのほとんどが一気に落下した。
たくさんのツタで覆われていた母体側が、あらわになった。
あらわになった者は、もちろん、先程までスピリットの材料にされていたイサムであった。
彼は、まだ、意識は取り戻していなかった。
「おいイサム!」と、マリオは大声で呼びかけながらも、イサムの身体を揺さ振ったりはしなかった。
というのも。
まだ、大きなトゲがある部分-----弱点でもある首筋と胸の左寄りの部分が残っていたのだ。
「よし、これを切るぜ・・・」
マリオは、まず手始めに、胸部のツタを掴んだ。
そして、ファイアーボールでツタを焼き切るのだが----
ファイアーボールの火力は弱めにして、そっとツタを焼き始めたのだった。
パチパチパチッ・・・と、音をたて、ゆっくりとツタは、火によって細くなっていった。
バチッ!!
派手な音を立て、イサムを縛めていたツタが、全部落下した。
そして、縛めが終わった合図のごとく、イサムの身体を強い光が包んだのだが----
マリオは、その目の前の状況を見て・・・
イサムのスピリットが消えていった光景を思い出してしまっていた。
やがて、イサムを包んでいた光は消え、彼は意識を取り戻した。
当然の事ながら、これまでに起きていた事は知らなったイサムは、ただただ驚いていたのだった。
「ああ・・・。助かったのか、オレ・・・」
イサムは自分の身体が無事な事を確認し、助かった事を確認していると----
突然、マリオはイサムを抱きしめ始めた。
「イサム・・・!」
驚いたイサムは、「えっ・・・?何・・・?」という言葉を返すしかなかった。
「お前は・・・消えないよな・・・!」
マリオの思わぬ言葉に、イサムは、「えっ、何!?何!?」と返す事しか出来ず-----
「お前は消えないよな?いや、消えないでくれ!」
「・・・!」
自分が意識を失っている間に、オレの身に何かあったみたい・・・?
“消えないよな?”って何だよ?
“お前は消えないよな?”
マリオのその言葉に、ただただ驚くイサムだったが-----
「あ・・・。ああ、オレは消えねえよ・・・」
イサムはそう返すと、自分側からもマリオを抱きしめ、
「だから・・・落ち着いて・・・な」と言ったのだった。