キリ番8000を踏んだ、まりっぺさんへのプレゼントです。

スマデラ小説・・・今回もリクエスト者が主人公の番外編です。

タイトルは『技術者』です。

(この小説の文章は、一般型と会話型が混在しています)

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ここはスマデラ選手寮。乱闘イベント期間中、選手達が寝泊りする施設だ。

この寮の地下には、工場があった。

そこでは乱闘イベントに不可欠な物が、生産や修理をしている。

何を生産・修理してるのかというと・・・謎のザコ敵軍団・・・の、ロボット(以下、ザコ敵ロボットと表記)だ。

このロボット達は、選手達の腕試し(百人組み手など)や、ラストステージ進出への関門として

バトルフィールドに送られ、選手に吹っ飛ばされると、自動的に工場に戻るよう、プログラムされている。

当然の事ながら、ロボット達には意思や感情はない。そういったプログラムは入ってないのだ。


地下工場では、数名の技術者が、ザコ敵ロボットの量産やメンテナンス等をしている。

そこに一人の女性の技術者がいた。

彼女の名前は まりっぺ。最近入ったばかりの新人だ。

工場の主任、アーサー・ダット(以下アーサーと表記)に、いろいろ教わりながら、

ザコ敵ロボットのメンテナンス等をしていた。

アーサー「・・・そうそう、ハンダ付けは火傷に気をつけて・・・」

まりっぺ「はい」

るるるるる・・・♪

仕事終了の合図の音楽が鳴った。

アーサー「はいっ、おつかれさん。明日は休みだねえ。どっか出かけるのかい?」

まりっぺ「家で寝転がっていよーかと」

アーサー「あはは、若いのに~。デートしないのかい?」

まりっぺ「ふふふ・・・あたしはフリーですよぉ~・・・・それじゃ、お先に失礼しま~す♪」

まりっぺはそう言って、帰り支度を始めた。


アーサーは、工場が誰もいなくなったのを確認すると、自分のロッカーから何やら小型機械を出してきた。

「ここで量産されているザコ敵ロボットは、バトルフィールドに送られ、選手に殴られると、元に戻ってくる・・・

 まあ、そうプログラムされてるからなんだけどな。」

持って来た小型機械を工場の生産室に持ち込むと、机の上に置いた。

そして、倉庫から、 ザコ敵ロボットを3体運んできた。

「おもしろい事になるぞ・・・」

そう言って、3体のザコ敵ロボットに、さっき持って来た小型機械を組み込もうとしたその時---

がちゃっ!

突然生産室の出入り口ドアが開き、アーサーは驚いた。ドアから入ってきたのは まりっぺだった。

「あーよかったあ!まだ人がいたあ~。忘れ物しちゃったんで取りに来ちゃった~」

アーサーはあわてて小型機械を机に置きなおし、まりっぺに話かけた。

「忘れ物かい?なに忘れたんだい?」

「これです♪」

そう言ってまりっぺは、机に置き忘れたメモ帳を見せた。そして、

「アーサーさん何やってるんですか?」

と、アーサーの作業をのぞきこんだ。

「ちょっと修理だ」

と、アーサーがごまかすが・・・・

「見慣れない部品ですね。こんな形の部品あったんですね」

「ああ、ちょっとな・・・」

アーサーは言葉を濁した。

----まずい、俺の計画が、ばれちまう・・・・早く帰ってくれ・・・。

「部品、よく見せてくださいね」

まりっぺは机の上の小型機械を手にとって見始めた。

「わあ、ずいぶん精密ですね・・・なんだか小型のコンピューターみたい・・・」

「そ・・・そうだろ・・・・と・・・ところで、遅くなるけど、時間はいいのかい?」

「あっ、今日は早く帰らなきゃ!失礼しまーす」

帰ろうとするまりっぺだが、アーサーが引きとめた。

「すまん。明日休みのはずなんだが、出てくれないか。ちょっと明日中に仕上げたい作業があるんで」

「いいですよー。明日は特に用事はないですし」

「すまんな。明日、正午に工場に来てくれ」

「はーい、失礼しまーす」

まりっぺが生産室を出たのを確認すると、アーサーは、作業の続きをはじめた。

「見られちまったな・・・計画の最初のターゲットは、あいつに決定だな」

そういいながら、小型機械をザコ敵ロボットに組み込んでいった。


その日の深夜。場所は地下工場の倉庫。ここはザコ敵ロボットが保管されている。

乱闘大会時以外は、ロボット達は動かない様にプログラムされていた。・・・・が。

そのうちの数体が動き出した。

「はあ・・・また明日も選手に殴られるんだね」

「俺達、なんで選手に殴られなくちゃならないんだよ!」

「腕試しや次のステージに進む為に、選手に殴られ、ここに戻って修理されてまた、選手に殴られる・・・

 ・・・そんな毎日はいやだ!!」

「選手達に復讐だ!」

「そうだ復讐だ!!」


翌日の朝・・・ほとんど昼前の時間。

場所は変わって、地上のスマデラ選手寮。

今日は、バトルイベントのないオフ(休み)の日で、各選手は、くつろいでいた。

一日中寝てる者、買い足しに出かける者、バイトに出かける者、趣味に没頭する者、

剣等の武器の手入れをする者、等、様々だった。



とある選手の部屋。

昼前ながらもベッドで寝ている者がいた。今日はオフなので寝てても問題ないのだが。

彼は夢を見ていた。暗闇で、なにかを感じ取っている夢だった。

“恨み” “怨念” “復讐”・・・そういった物を感じ取っていた。

そして、それらはスマデラ選手達に襲いかかってきた・・・。もちろん自分にも。

「わあああ!」

ばさっ!

「痛たたた・・・」

ベッドから滑り落ち、彼は目を覚ました。

「なんだ夢かあ・・・」

頭を2,3度振り、起き上がった。なんだか頭がすっきりしない。

「!?・・・まだ寝ぼけてるのかな・・・夢の中で感じ取っていた“恨み”“怨念”“復讐”とかが

 まだ消えない・・・感じ取るというよりも、心に直接飛び込んで来ているような感じだ・・・」

恨まれたりする覚えがない・・・とは言い切れない。『逆恨み』も一種の恨みだから。

しかし自分1人だけならまだしも、夢の中では選手みんなにも“恨み”等がふりかかって来てたのは一体・・・?

「はあ・・・顔でも洗ってくるか」

部屋を出ると、風船ポケモンのプリンが声をかけてきた。

「ウォッチしゃん、おはようでしゅ。もうすぐ昼でしゅよ」

部屋から出た選手---Mr.ゲーム&ウォッチ(以下、Mr.は省きます。会話部分ではG&Wと表記)がプリンに返事をした。

「ああ、おはようプリン」

「いい天気でしゅよ。だからプリンは今からお出かけしましゅ」

プリンはうれしそうだった。

「いってらっしゃい」

「いってきましゅ♪」

プリンはそう言って、うれしそうに出かけて行った。

「はあ・・・プリンは“恨み”とかを感じ取ってないらしいな・・・もしかしてオイラだけ?」


相変わらず どこかから心に直接飛び込んでくる怨念の感情が消えないので、

ひょっとしてどこかから飛んできたテレパシーの類(たぐい)ではないかと思い、

超能力少年のネスに聞いてみることにした。

ネスは食堂のテーブルに座っていた。ルーズリーフに鉛筆でなにやら書いている。彼は明日は昼からバトルがあるので、

図とかを描きながらイメージトレーニングをしているのだ。

「ネス、ちょっといいかな?」

ゲーム&ウォッチはそう言って、ネスの正面のイスに座った。

ネス「いいよ、どうしたの?」

朝からどこかから飛んで来た怨念の感情が心に直接伝わってる、ほかのメンバーはそんな事なさそうだけどネスはどうだい、と、

単刀直入に聞いてみた。

ところが意外な事にネスの回答は「僕もほかのメンバー同様、なかったよ」だった。

G&W「ネスも ない・・・って・・・この怨念を感じ取ってるのは寮の中ではオイラだけ・・・?」

ネス 「そうみたいだね。まあ、僕はすべてのテレパシーを感じ取るわけではないから、はっきりした事は言えないけどね。

    それに、テレパシーは特定の人1人だけに対して飛ばされる事もあるんだよ」

G&W「・・・・じゃ、オイラに対して怨念の感情を持った人が飛ばした可能性もあるって事・・・かな」

ネス 「うーん、それもはっきりと言えない。ところで、どの方向からその怨念の感情が飛んできてるか、わかるかな?」

G&W「・・・・・」

ネス 「わからない?」

G&W「・・・・」

ネス 「やっぱり難しいよねえ、テレパシーの類の場所の特定は」

G&W「いや、わかるんだよ、方向的には。ただ・・・・」

ネス 「どっちの方向なの?」

G&W「地面の下からなんだ・・・」

ネス 「地面の下かあ・・・。うーん・・・・テレパシーの類だったらミュウツーにも聞いてみたいんだけど、

    今朝早くから出かけてるんだよね・・・」

G&W「どこに出かけたの?」

ネス 「買い物だって。この辺ではポケモン用の道具は売ってるけど値段が割高だから、遠くの量販店にまとめ買いに行ったんだ」

G&W「そうか・・・・寮の周辺はポケモンが生息してないから値段が割高なんだな」

ネス 「ピカチュウも先日ぼやいてたよ・・・ところで話それちゃったね」

ネスが苦笑した。

G&W「うん、ごめんね、ネス。イメージトレーニングの手を止めさせちゃって」

ゲーム&ウォッチが席を立った。

しばらくしてネスが「原因究明の手伝いしようか?」と言ったのだが、そのころには既にゲーム&ウォッチの姿はそこにはなかった。


寮の廊下。怨念の飛来場所を探すべくゲーム&ウォッチはゆっくり歩いていた。

「場所は寮の下からのようだ・・・」

先に話があった通り、選手寮の地下には謎のザコ敵のロボットの生産工場があるのだが、彼はもちろんのこと、

選手全員、寮の地下に工場がある事を知らなかった。

「寮の下から怨念・・・って、寮に地下シェルターでもあるのか!?・・・まさかなあ・・・」

しばらく廊下をゆっくり歩いていた・・・すると

「!?」

廊下の防火扉の方から、怨念が来ているようだった。

防火扉は、普段は開放されていて、壁の一部になっている状態だ。

「なんで防火扉から?まさか、この防火扉が隠し通路を隠してるとか?・・・まさかなあ」

ゲーム&ウォッチは防火扉のツマミに手をかけ、引っ張ってみた。

(追加説明 兼 注意 : この小説のマネして現実で非常時以外に防火扉の開閉はしないで下さいね・・・滝汗)

「何だよこれ!」

防火扉を開けると、その奥、つまり、壁面に、扉が現れたのだ。

・・・・隠し扉・・・?この奥には何があるんだろう・・・。

そして扉を開けると・・・中は地下に続く階段があった。怨念は地下から来ている。

彼はその怨念にひかれるように、地下への階段を降りていった。

階段を下りる前に、防火扉は通常の開放状態にし、隠し扉は元通りに閉じた状態にしておいた。


場所は変わって、地下工場。まりっぺはアーサーに休日出勤を頼まれて工場に来たのだが、

工場には誰もいなかった。

「まだ誰も来てないのかしら?それにしても・・・・正午に来てって言ってたのに、すでに正午を30分も回ってる・・・」

工場の技術者の制服の、作業服を着て帽子をかぶり、白衣を羽織った姿で、彼女は工場内をウロウロしていた。

背後から狙ってる者がいるのに気づかずに・・・・・


「俺はここにいるぜ」

工場のモニター室に、アーサーがいた。

このモニター室は、工場内を見ることができ、特定の場所のセキュリティシステムの解除(ドアや窓など)もできる場所だ。

「さて・・・ゆっくりと俺の計画を楽しむとするか・・・」


「もうすぐ1時じゃないの・・・もしかして、あたしが休日出勤する事を忘れたんじゃないかしら・・・」

まりっぺは工場内を歩き回り、自分以外の出勤者を探していた。

「1時を過ぎたら帰ろうかしら・・・」

腕時計に目をやり時間を見、再び工場内を見回す。

『標的発見、標的発見』

と、どこからか声がした。

・・・標的?

『標的を発見しました』

・・・何?

『標的を発見。ただちに攻撃します』

・・・攻撃?

首をかしげるまりっぺの目の前に、ザコ敵ロボット3体が現れた。彼らは、こちらを指し一斉に こう言った。

『標的が目の前にいます・・・攻撃開始』

・・・攻撃対象って、あたしの事!?それに、このロボットは、スマデラ選手以外攻撃しないよう設定してあるはずだし、

第一しゃべられないはずよ!どうして!?

まりっぺは白衣のポケットからリモコンを取り出した。

これは、万一、ザコ敵ロボットが製造・メンテナンス中に暴発(ぼうはつ:この場合、予想外に暴れたりする事)した時に、

強制的に電源を切る物で、工場の技術者は全員、仕事中に白衣に入れている物だ。

ぴっ、ぴっ・・・・

ところが、リモコンが効かなかった。ロボット達は、まりっぺに近づいていく。

・・・・どうして効かないの!?

ザコ敵ロボットの1体が、まりっぺを突き飛ばした。

「きゃあああああ!」


「こんな地下通路があるなんて、知らなかったよ・・・それにしても、どこに通じてるんだろ・・・」

薄暗い地下通路をゲーム&ウォッチは歩いていた。しばらくすると、行き止まりになっていた。

突き当たりにはドアがあり、大きな赤文字で注意文が書かれていた。

『関係者以外立ち入り禁止。特に選手は、いかなる理由があっても入室を厳禁する』

こんな張り紙が貼ってあるので、当然のことながら、ドアには鍵がかかっていた。

ドアの向こうから怨念は来ていた。

「きゃあああ!!」

中から女性の悲鳴がした。それと同時に殴打音も聞こえた・・・

何かあるのか?

「やめてえぇぇぇっ!!」

悲鳴はひっきりなしに聞こえてくる。


モニター室。アーサーはビール片手に悠々とモニターを見ていた。

「悪いな。俺の計画をみてしまったばっかりにな・・・」

モニターに映る、自分が改造したザコ敵ロボット3体に襲撃されているまりっぺの姿を見て彼は言った。

「助けはこないぜ・・・この場所は工場の関係者以外は誰も知らないはずだからな。もちろん、スタッフも選手も」

アーサーは、ザコ敵ロボットを、自分が作った部品を組み込んで改造し、選手襲撃を計画していたのだ。

部品には、ロボットに感情・知恵を組み込む要素が含まれている。ザコ敵は普段、選手に殴られてばかりなので、

感情・知恵がつくと選手に対して“恨み” “怨念” “復讐”の感情をもつようになる。だから、自然と選手襲撃という

事の流れとなる。順調に、選手襲撃ができると思っていたのだが---

しかし、昨日、まりっぺに見られてしまい、口封じの為に、まりっぺを襲撃させているのだ。

もちろん、先ほどにもあったように、工場の技術者全員が持つ強制電源オフ装置は効かないようにしてある。


どんどんどんどんっ!!

突然の思いがけない音と声に、アーサーは驚いた。

モニターで映っているドアをたたく音と、「開けろーー!!」と怒鳴り声がした。

そして、ドアノブを強引に回そうとする音もした。


「な・・・・?誰か気づいたのか?」

アーサーはモニターを操作し、ドアの外を映してみた。

「誰か来てるぞ・・・誰だこれ?真っ黒で平べったいヤツ・・・? あ! こ・・・こいつは・・・

 選手の一人だ。どうしてここがわかったんだ?」

どんどんどんどん!

ドアをたたく音が、ひっきりなしに続いた。

「ふむ・・・あのドアのセキュリティーシステムを解除して、あいつを中に入れてやるとするか・・・。

どっちにしろ、選手襲撃計画を実行するんだからな」

かちゃかちゃ・・・・

「システム解除・・・と」


どんどんどんどん!

「おい!開け・・・・わっ!」

さっきまで開かなかったドアが、急に開くようになったので、ゲーム&ウォッチは、勢いあまって転倒してしまった。

「いてて・・・」

目の前には、信じがたい光景があった。“謎のザコ敵軍団”が、選手でもない女の子(=まりっぺ)を襲撃しているのだ。

そして、ザコ敵達から、先ほどからの怨念が発せられていた。

「これは・・・どういうことだ?コイツらは選手以外は襲わないはずだが」

するとザコ敵ロボット達は女の子の襲撃の手を止めゲーム&ウォッチの方を見、『この人間は、攻撃の標的・・・』と言った。

「選手でもないのに?」

『お前はどうしてここに来たのだ?』

「ああ、オイラは選手寮の地下から怨念が来てるのを感じていて、その原因を究明を突き止めようとしたら、ここに来たんだよ」

『怨念・・・どうして俺達の怨念を感じ取ったのだ?』

「さあ・・・オイラにもわからないよ」


モニター室。アーサーは飲んでるビール缶を机に置き、こう つぶやいた。

----多分、2つの“原因”が重なったことによるんだろうな。

まず、ザコ敵ロボットの怨念・恨み等の対象は“スマデラ選手”だということ。

そして・・・これはあくまで推測だが・・・フラットゾーンは平面な電子の国。そこで生まれ育ったゲーム&ウォッチが

電子部品がたくさん仕込まれているザコ敵ロボットの怨念・恨み等を感じ取った、という“体質(?)”によるもの。

「この2つの条件が重なった事によって、あいつはここがわかったんだな・・・。だが、この状態は、

 まさに“飛んで火に入る夏の虫”状態だな」

アーサーは、再びビール缶を手に持ち、残りを一気に飲んだ。そして笑いながら空き缶をゴミ箱に放り投げ、

冷蔵庫からカクテル缶を取り出した。

「あのザコ敵ロボット3体は、強さレベルはVERY HARDをはるかに超えた改造をしてある。

 1体だけでも、マスター(マスターハンド)と、クレイジー(クレイジーハンド)が、束になってかかってきたとしても、

 余裕で倒せるぐらいにだ。はたして、どうなることやら・・・・」

笑いながらアーサーは、カクテル缶の封を開けた。


『標的増加、標的増加。選手が1名』

ザコ敵ロボットがそう言って、まりっぺとゲーム&ウォッチを取り囲んだ。

「誰かに改造されたんだな。じゃないと、コイツらは、こんな事しないはずだからな」

『攻撃開始・・・』

ザコ敵ロボットの1体が、飛び上がった。

「スピットボールスパーキー! (ボールを吹き上げ、敵の下から攻撃) ・・・わああ!」

どすん!

吹き上げ技が効かず、下敷きにされてしまう。

『そんな物は効かん・・・』

『俺たちは大幅に改造されたんだ』

『小手先程度の物は通用せんぞ・・・』

「痛たたた・・・」ゲーム&ウォッチは下敷きから開放されると、すぐさま反撃に出た。

「バーミン!(ハンマー攻撃。複数の敵に取り囲まれた時に便利な技です)

ザコ敵ロボットの1体がハンマー攻撃を受けながらも「そんな物効かんわあ!」と大声でどなり、

ゲーム&ウォッチの腕をつかみ、持ち上げると、壁に押し付けた。

壁に押し付けたまま、体当たりを始める。何度か体当たりをすると、今度は体を強く押し付けた。

「ぐわぁ・・・やめろぉ・・・・」

当然のことながら、やめるわけがない。

「やめてえぇぇっ!」

まりっぺがそれを止めようと、体を押し付けているザコ敵ロボットに体当たりをしようとするものの、

『邪魔っ!』という言葉とともに、はねのけられてしまう。

「痛~い・・・・あ、そうだ」

再び、まりっぺはさっきと同じ方向に突進していく・・・が、今度は違っていた。

「えーい!」

掛け声と共に、さっきザコ敵ロボットの背中に飛びついた。そして、後方に体重をかける。

思いもがけない まりっぺの反撃(?)にバランスを崩し、そいつは後方に転倒した。

それと同時に、壁に押し付けられていたゲーム&ウォッチが解放される。

「ふう・・・たすかった。ありがとう・・・」


場所は再び、モニター室。アーサーは、カクテルを飲み終えると今度はウォッカを飲み始めた。(よく飲む人だな・・・)

「なかなかやるな、まりっぺ君。しかし、どこまで持つやら・・・2人とも」

ウォッカのグラスをテーブルに置き、笑いながら、それでいて、冷ややかな目でモニターを見る。

「俺の改造したロボット達は、無敵だ・・・。さっさと この2人を始末して、早く他の選手の襲撃も見てみたいものだ・・・」


「きゃああ!」

「なんでコイツら、こんなに強いんだ!?誰が改造したんだよ!?」

3体のザコ敵ロボットは、想像をはるかに超える強さだった。

すでに、まりっぺ と ゲーム&ウォッチの2人は傷だらけだ。

『無駄な抵抗はよせ・・・』

『おとなしくしろ・・・』

『観念しろ・・・』

「それは できないぞ!黙ってやられてたまるか・・・」

「あたしもう、戦えないよー・・・」

もともと戦闘慣れしていない まりっぺ が 弱音をはきはじめた。

「・・・じゃ、危ないから、さがってて・・・・ファイアアタック!(火付き棒で攻撃)」

『無駄だと言ってるだろうが・・・』

ザコ敵ロボットのその言葉もお構いなしに、ゲーム&ウォッチは、火付き棒を振り回す。

その姿は、剣の舞のようで----

ところが、この炎攻撃が、状況を一転させた。

頭上からピーピーと音がし、声が聞こえてきた。聞き覚えのない声だ。

「火災を感知しました。火災を感知しました。放水を始めます」

炎攻撃が、防災設備のスプリンクラーを作動させてしまったようだ。

直後、天井から水が降り注いできた。

当然の事ながら、ファイアアタックの炎は、この水に消されてしまった。

「うわー・・・防災設備の事は、すっかり忘れてたよ・・・・」

スプリンクラーの水を浴びながら、ゲーム&ウォッチはつぶやいた。

『う・・・』

『や・・・やめてくれ・・・』

『水を止めてくれ・・・』

3体のザコ敵ロボットは、水を浴びながら、苦しみ、もがき始めた。

「そうか、・・・精密機械だから、水に弱いんだな」


モニター室。アーサーは、この状況を見て、青くなった。

「水を浴びる、というのは計算外だった・・・」

彼はそう言うと、ウォッカのグラスをテーブルに置いた。

「選手襲撃計画は失敗だ・・・」

アーサーは、着ている白衣を脱ぐと、モニター室を出た。


「はあ・・・助かったようだな」

「どうなるかと思ったよ・・・」

まりっぺ と ゲーム&ウォッチの前には、さっきまで難敵だったザコ敵ロボットが転がっている。

スプリンクラーの水により、故障して作動しなくなったのだ。

突然、男性の声がした。

「何なんだ、これは!どうしてザコ敵ロボット3体がこんなところにあるんだ?」

声の方向にいるのは、まりっぺと同様に作業服に白衣を着た、初老の男性だった。

「あ!工場長!」

まりっぺが言った。

工場長は、つかつかとこちらへ歩いてきた。そして、まりっぺを無視してゲーム&ウォッチに対して大声で どなり出した。

「おい!ここは選手は立ち入り禁止のはずだぞ!なんでここにいるんだ?」

まりっぺ「あ。待ってください工場長。実は私があのザコ敵ロボット達に襲われてる所を助けてもらったんです」

工場長「強制電源落としのリモコンを使わなかったのか?」

まりっぺ「効かなかったんです」

工場長「・・・それに、どうして今日ここにいるんだ?今日は休みだぞ」

まりっぺ「え。昨日アーサーさんに明日中に仕上げたい作業があるから出てくれって言われたんですけど・・・」

工場長「ワシは何も聞いてないぞ」

まりっぺ「えっ!?」

工場長「ワシは、ここの工場と契約しているセキュリティーシステムの会社から、今日は誰も来ないはずなのに

     ドアのセキュリティーを解除したりスプリンクラーが作動したりしてる、という連絡が来たんで見に来たんだよ・・・」

まりっぺ「ドアのセキュリティー解除ですか?それはあたしじゃないですよ」

工場長「・・・・ま、とにかく・・・・」

工場長は再びゲーム&ウォッチの方を向いた。

工場長「ここは、いかなる理由があっても選手は立ち入り禁止なんだぞ。わかってるのか?」

G&W「・・・・はい」

工場長「場合によっては、選手資格剥脱もありうるぞ。覚悟しとけ」

G&W「・・・・はい」

まりっぺ「待ってくださいよ!彼はあたしを助けてくれたんですよ!」

工場長「立ち入り禁止場所で異常を見つけたら、マスター(マスターハンド)なり何なりと呼べばいいんだ!

     わざわざ立ち入り禁止場所に入ってくる事ないんだぞ!」

(追加説明:マスターハンドがバトルイベントの主催者という設定です)

まりっぺ「・・・・ひどい・・・」

工場長「規則は規則だ!さっさと選手寮に帰りなさい!」

G&W「・・・はい・・・失礼します・・・」

ゲーム&ウォッチは、入ってきた扉から出て行った。

まりっぺ「規則は規則って・・・襲われていた あたしは、どうでもよかったんですか」

工場長「別にそうは言ってないじゃないか」

まりっぺ「仮に、あたしが襲われてるのを彼が発見して、マスターを呼びにいってる間に、あたしがやられてたら どうなるんですか」

工場長「それはそれで仕方ない」

まりっぺ「なっ・・・・何ですってぇ・・・」

ぼかっ!

まりっぺは工場長を殴り飛ばしだ。

そしてゲーム&ウォッチの後を追いかけた・・・・


とんとんとんとん・・・

階段に足音が響いている。そこにもうひとつ、足音がした。

ととととととと・・・

駆け足で追いかけている。こちらの足音は、まりっぺの足音だ。

間もなく、まりっぺはゲーム&ウォッチに追いついた。

まりっぺ「追いついた!」

G&W「あ、さっきの・・・」

まりっぺ「あ、・・・・あの・・・」

言葉が出てこない。

G&W「ああ・・・気にするな」

まりっぺ「でも・・・」

G&W「わかってるって」

ゲーム&ウォッチはそういうと、まりっぺの頭に手を置き、「よしよし、気にするんじゃないよ」と言って、なで始めた。

なんだか子供扱いをしているようだ。実際、彼の年齢から見れば、まりっぺは子供なのだが。

G&W「じゃ、オイラは選手寮に戻るから」

そう言ってゲーム&ウォッチは“隠し扉”から寮に入っていった。


実はこの“隠し扉”は、地下工場の避難通路だったのだ。この通路は地下工場から選手寮に通じている物だ。

ただ、選手寮から見たら、防火扉に隠れている状態なので、“隠し扉”に見えてしまったのだ。


さて、この事件の発端となった人物、アーサー・ダットは どうしたのかというと・・・・。

彼は工場の出口すぐの場所で、傷だらけで倒れているのが発見された。

それと同時に工場では「ザコ敵ロボットが1体足りない!」と、大騒ぎになっていた。


<終わり>

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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

リクエスト者主人公、第4弾です。


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