カウント15000を踏んだ星流ゆうゆうさんのリクエストです。

久しぶりの小説リクエストです。

ネスが主人公です。

タイトルは「観客」です。


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『ネスVSリンク! LEADY GO!』

アナウンスが流れ、観客たちが盛り上がる。

ここはスマデラバトルフィールド。

先ほどのアナウンスより、ネス対リンクのバトルが始まった。

超能力と剣の攻撃が交差する。

「PKサンダー!」

「でやーっ!」(回転斬りの掛け声)

リンクの回転斬りをかわしながら、ネスが空中に浮いた。

そして空中から炎攻撃。

「PKファイヤー!」

リンクはその炎攻撃をよけ、フックショットを放った。直後、一瞬だけ観客の方を見た。

観客の方を見た、つまりよそ見をしたという事は、隙ができてしまう事でもある。

その隙を突き、ネスはリンクにバットスイングをお見舞いした。

カキーン!

「うわあ!」

リンクは、かなりのダメージを受けたが、なんとか体制をたて直し、爆弾を手にした。

しかしそのあと、爆弾を両手に持ったまま、まるで爆弾を持ってるのを忘れたかのように

首の角度をしばらく何度か変え、また観客の方を少しだけみたのだった。

「リンク・・・?」

リンクの様子がおかしいのに気づいたネスが、リンクに声をかけた。

どかんっ!

リンクの飛び道具“爆弾”は、5秒たつと爆発するので、それまでに相手もしくは障害物に投げつけなければ

自分がダメージを受けてしまう。

「うわっ!」

文字通り リンクは爆弾のダメージを受けた。

直後、たたみかけるようにネスはヨーヨーで攻撃をした。

「ヨーヨーショット!」

「うわっ・・・・わああああーー・・・・・」

このヨーヨーショットにより、リンクは吹っ飛ばされていった(吹っ飛ばされた=敗戦)

これにより、今回のバトルの決着はついた。もちろんネスの勝ちである。

バトルステージを降りる時、ネスはこう呟いていた。

「なんか、リンクの様子が変だったなあ。観客席を気にしてたような・・・」


バトル中、選手が観客席を見るのは別に反則でも何でもない。

但し、よそ見をする分 隙ができてしまうが。

知り合いでもいたのかな・・・それにしても変だったよなあ・・・。

場所は、さっきと変わってネスの部屋。

今日行われたバトルを思い返しながら、ネスは部屋のベッドで横になっていた。

リンクの様子が変だった。何かあったに違いない。

その“何か”がわからない。今日のバトルのリンクの敗因は、その“何か”だと言う事には

ほぼ間違いないとは思うのだが---

「かといって、僕が『今回リンクが負けたのは、リンクに何か起きたからだ』とは言いづらいよなあ。

 自分のバトルのやり方にこだわってるみたいだし。それに第一、リンクの方が、

 自分に起きた事が負けた原因だなんて言えないよなあ・・・負けた言い訳みたいだからなあ・・・」

ネスは、部屋の壁に貼られている『対戦予定表』に目をやった。

「明日は、僕が出場する予定はなく・・・第1試合はサムスVSヨッシー、第2試合はフォックスVSピチュー、

 第3試合はリンクVS Mr.ゲーム&ウォッチ、第4試合はガノンドロフVSルイージ・・・かあ・・・

 ああ、明日もリンクが出るんだな。よし、明日はバトルを見物だ!・・・関係者用見物席ではなく、観客席で。」

選手、及び、バトルイベント関係者が観客に混じって観客席からバトルを見物しても問題はない。

ただし、選手・関係者関係なく見物席は入場料を支払う必要があるのだが。

やはり人気者が集結して成り立ってるイベントなので、入場料は結構高い。

「ああ・・・入場料が・・・またアルバイトでもするかな」

この国は、ネスの年齢がアルバイトをしても問題はないのである。


翌日。ネスはバトルイベント会場の観客席のところにいた。

普段の服装ではなく、いつもとは違った服装である。

いつもの赤い帽子ではなくバンダナを巻き、いつものしま模様の服装ではなく違う服装で、

背中にはリュックを背負わずウエストバッグを腰につけていた。

なので、一見ではネスには見えない。

所々で「あの男の子、ネスに似てるねー」という話もあったのだが、誰も本人だと思ってないようで、

近づいてくる人はいなかった。

バトル開始まで、あと30分程だが、観客席は既にいっぱいだった。

ネスはあたりを見回した。

観客席の、すみっこの場所で、なにやら人が大勢集まっていた。

「・・・・なんだろう」

その場所に、ネスは近づいていった。

座席は指定席と立見席の2種類あり、ネスは指定席の方を買ったので、

自分の席を離れても他の人に席を取られる心配はない。

人だかりの中心に、大柄な男性がいた。

「さあ、はったはった!誰が勝つか、賭けてみないか。1口10コインだよ!」

このバトルイベントを利用してギャンブルをやっているようだ。

ギャンブルの大元の男性が、ネスを指差して言った。

「よっ、そこのボウズ。誰が勝つか賭けないかい?」

いきなり指差して話かけられたのでネスは驚いた。

「えっ・・・・」

「まあ、そんなに驚かずに。1口10コインで・・・倍率は、この通りだ」

ギャンブルの大元の男は、そう言って倍率を書いている紙をネスに見せた。

『第1試合 サムス(倍率1.3) VS ヨッシー(倍率3.5)  

 第2試合 フォックス(倍率5.1) VS ピチュー(倍率1.5)

 第3試合 リンク(倍率1.4) VS Mr.ゲーム&ウォッチ(倍率4.6)

 第4試合 ガノンドロフ(倍率1.4) VS ルイージ(倍率6.1) 』

「な・・・なに、この倍率・・・これで成り立つの・・・・?」

ネスがおどろいて聞いた。

「心配しなくても成り立つんだよなあ♪」

鼻歌交じりでギャンブルの大元の男性は答えた。

変だよ、この倍率!

だって、誰が勝ってもおかしくないのに、これじゃ、誰が勝って誰が負けるかというのを

勝手に決め付けているみたいだよ!

しかし、ネスは言わなかった。

というのも、周りにいる賭けの参加者は、必死に誰に賭けようか考えている人ばかりで、

とても言い出せる雰囲気ではなかった。

言ったら袋叩きにされそうだあ・・・・

「さあ、ボウズ。どれに賭けるかい?」

大元の男がそう言うと、ネスは

「じゃあ・・・一番倍率の低いサムスに・・・」

と言った。

「手堅く低い倍率を選ぶんだな。何口だい?」

「・・・1口」

「はい、10コインね。まいどあり。サムスが勝ったら払い戻し(ギャンブル等で勝ったお金の受け取り)は、

 バトルイベントが終わってからだよ」

ネスは、コイン10枚と賭け札を交換した。そして、ズボンのポケットにしまい込むと、自分の席に戻ろうとした。

そのとき、ネスの背後から、こんな声がした。

「ルイージに20口!当たれば1220枚になるぞ~♪」

その人を横目にネスは

「ああいうのをギャンブラーっていうのかなあ・・・」と、つぶやきながら自分の席の戻っていった。


「第1試合、サムスVSヨッシー! LEADY GO!」

そのアナウンスと共にバトルステージではサムスとヨッシーのバトルが始まった。

ネスは昨日のリンクの件の真相探りを忘れてしまいバトルに見入っていた。

そして第2試合も終わり、第3試合が始まる時だった。

「第3試合、リンクVS Mr.ゲーム&ウォッチ! LEADY GO!」

「次の試合はこの2人かあ・・・・って・・・そうだ!昨日のバトル中のリンクの様子がおかしくて、

 その原因を探るために客席に来たんだっけ!」

そうだった、バトルを見物している場合じゃないぞ・・・・。

ネスは観客席全体を見回した。ところが身長が低いため、広範囲に見渡せない。

大人の身長ぐらいの高さまで、そっと超能力で浮き上がり、客席を見回してみた。

ギャンブルの大元の男が一番後ろの席にいる。彼は腕を組みながら・・・なにやら指をゴソゴソ動かしていた。

・・・なんだろう・・・?

ここからでは、何しているのかは見えない。しかし、何かしているのは確かだった。

チカッ!

ギャンブルの大元の男の指から光が発せられた。その光はバトルステージに向かっていた。

光線とかではなく、何か反射させているような感じだ。

直後、バトルステージからバサッ、という音が聞こえてきた。どちらかがステージ上で転倒したようだ。

光!?

ネスはステージの方を見た。転倒したのはMr.ゲーム&ウォッチだった(以下Mr.は省きます)。

彼は起き上がりながら2,3度頭を降った。直後観客席の方をチラッと見た。

-----昨日のリンクと同じだ!

ネスはそうつぶやき、ギャンブルの大元の男と、バトルステージにいる2人を交互に見た。

また、ギャンブルの大元の男から光が発せられた。今度はさっきのような音はしなかったものの、

ゲーム&ウォッチの方は動揺している様子だった。

---ああ!?そうかあ!

あの男が主催しているギャンブルは、インチキなんだ!

倍率の高い選手には光を当てて妨害し、不利にしてるんだ!

だから、あんな滅茶苦茶な倍率でもギャンブルが成り立ってるんだ!

バトルをしている本人は、あの光で自分が負けたなんて言えないからなあ。

言い訳みたいになってしまうから。その事も計算に入れてるんだ!

「いま実施しているバトルは・・・リンクの倍率は1.4倍、Mr.ゲーム&ウォッチは倍率4.6倍・・・

 リンクが有利になるように、光を当ててるんだな・・・」

昨日の、リンクの様子が変だった原因がわかったが・・・・今はギャンブルの大元の男のところに行って、

不正行為を止める事はできなかった。客席が混雑しているので、その場所まで行けないのだ。

いや、ネスだったら超能力で宙に浮いて、そこまで行くことができる。しかし、今は行動に出られない。

というのも、ギャンブルに絡んでいる人は大元の男だけでなく、ギャンブルに参加している人(賭けてる人)も

たくさんいるので、一人で行動を起こすのは無理だ。反対に、のされてしまうだろう。

明日も僕の出るバトルがなかったなあ・・・よし、明日、不正を暴く事の実行だ!

もちろん一人じゃ無理なので協力者が必要になるけど。

・・・ああ、また明日も入場料代の出費が・・・

ネスは ため息をつき、バトルステージの方を見た。

時折、光を当てられ動揺しているゲーム&ウォッチと、光を当てられずに普段どおりに戦っているリンク。

当然のことながらリンクが有利である。結果は一目瞭然に見えた。---が。

光を当てられ、普段どおりに戦えないということもあり、ゲーム&ウォッチは、かなり動揺している状態だった。

そんな状態の最中、彼は賭けに出た。

「ジャッジ!」(出る数字によって変わる攻撃技)

この賭けが功に出た。数字は9が出たのだ。9は相手を吹っ飛ばす数字である。

カキーン!という音と共に、リンクはステージの向こうの方に吹っ飛ばされていった(吹っ飛ばされた=敗戦)

このバトルの結果を見たギャンブルの大元の男は、ギリギリと歯を食い縛りながら

「くそ・・・あの黒い奴め・・・」と、くやしがっていた。

勝負なんて、最後までわからないものだよ、おじさん。

ネスは、そうつぶやいた。


翌日、ネスは昨日と同じくバトルステージの観客席にいた。

時間はバトルが始まる30分ほど前。

昨日と同じくギャンブルの大元の男が、同様に賭けの呼びかけをしていた。

今日はネスは、自由席ではなく立見席のチケットを買い、入場したのだった。

立見席は、指定席と違い、“イスのない自由席”である。

本日の試合とギャンブルの倍率は、以下のとおりだった。

『第1試合 カービィ(倍率4.6) VS Mr.ゲーム&ウォッチ(倍率1.5)

 第2試合 ミュウツー(倍率3.8) VS ガノンドロフ(倍率1.4)

 第3試合 子供リンク(倍率倍率1.5) VS C.ファルコン(倍率4.6)

 第4試合 ファルコ(倍率1.8) VS マルス(倍率4.1) 』


『間もなくバトルが始まります。お客様は、早めにお席に着くよう、お願いいたします』

場内アナウンスが流れた。

ネスは、ギャンブルの大元の男の斜め後ろに立った。

ギャンブルのインチキをしている最中の現行を取り押さえるためだ。

ネスはリュックの中に入れておいた物を確認し、こうつぶやいた。

いざとなったら・・・これを使おう・・・。


「カービィ VS Mr.ゲーム&ウォッチ! LEADY GO!」

いよいよ今日のバトルが始まった。ネスはバトルを見ずに、ギャンブルの大元の男を見ていた。

手から光を発した時、現行で取り押さえるつもりなのだ。

そして・・・・ギャンブルの大元の男が行動に出た。

手に小型のペンライトのような物を持ち、バトルステージにいるカービィの顔に向けて発光した。

ネスはすぐさまギャンブルの大元の男の腕を掴んだ。ネスに腕を掴まれて驚く大元の男だが、

その直後にネスも驚く事になろうとは思いもよらなかった。ネスが掴んでいる手と反対側の手を誰かが掴んだのだ。

つまりギャンブルの大元の男は両手を掴まれている状態である。

反対側を掴んでいる主が驚いて言った。

「ネス!?」

その声に、同じく驚いてネスが言った。

「マリオ!?」

そう、反対側を掴んでいるのはマリオだったのだ。マリオもネスと同じくいつもとは違った服装だった。

「ネス、どうしてここに!?」

「そういうマリオこそ!」

お互い驚いていた。しかし2人より驚いたのは両手を掴まれているギャンブルの大元の男である。

「何だ!?なんで選手がここに!?」

「インチキギャンブルをここでやってる奴を取り押さえる為さ・・・」

マリオがギャンブルの大元の男の手を後ろにねじ伏せながら言った。

この状態のまま、ネスとマリオの2人がギャンブルの大元の男を外に連れ出そうとしたその時----

「おい!そいつに何するんだ!」

「どこに連れて行く気だ!」

と、周辺が騒ぎ始めた。ギャンブルに参加(賭けをしている人)した人達だ。

「連れて行くな!俺は賭けてるんだぞ!そいつを連れて行ったら、俺の賭けた金はどうなるんだよ!」

「連れて行くのは、バトルが終わってからにしろ!」

賭けている人達は、一斉にネス達のところに来た。

そして一斉にネスとマリオに掴みかかる。

「わあっ!」

「うわああ!!」

予想外だった。さすがのネスとマリオでも、こんなに大勢には対抗できない。

2人とも もみくちゃにされてしまう。

観客席の異様に気付き、バトルステージにいるカービィとゲーム&ウォッチは、バトルを中断した。


もみくちゃにされ、傷だらけになっているネスは、

「う・・・仕方がない・・・これを使うか・・・」

と言い、鞄の中から球状の物を取り出した。それはモンスターボールだった。

ばっ、とモンスターボールをバトルステージの方向に放り投げた。

あらかじめ、ネスがポケモンを入れていたのだ。

そのポケモンは----

「プリプリー♪」

プリンである。ネスに頼まれて中に入っていたのだ。インチキギャンブルを取り押さえるために。

「プリン!!歌ってくれ!!大声で!」

ネスはそう言い、耳をふさいだ。そうしないと自分まで眠ってしまうからだ。

プリンはバトルステージ横の音響マシンのところにあるマイクを手に取り、歌い始めた。

ぷ~♪ぷぷ~♪

ぷ~ぷり~♪ぷ~~♪

ぷり♪ぷりり~~♪

プリンの歌声に、観客が次々と眠り始めた。もちろん、バトルステージのカービィもゲーム&ウォッチも、

こっちにいるマリオもギャンブルの大元の男もだ。

しばらくして、バトルステージと観客席の中で起きてるのはネスとプリンの2人だけになった。

ネスは「プリン!ありがとう!助かったよ!」と言った。

するとプリンは「プリプリ♪」と言いながらネスのところに戻ってきた。


ネスの周りの人達は、すっかり眠っている。

まず最初にマリオを起こそうとした・・・・・が。

「ねえ、起きて!」

「う~ん・・・」

「起きてよお~~~~」

ところが、なかなか起きそうにない。

「・・・・困った・・・」

プリンの歌声で眠らされたら簡単に起きないのだ。

「あ、そうだ」

なにか思いついたらしい。ネスはマリオの体を揺すり、こう言った。

「ねえ、ピーチがまたさらわれたよ!」

この言葉はよく効いたようだ。

「なんだって!」と大声で言いながらマリオは飛び起きた。そして「どこだクッパは~~~!」といって、

ファイティングポーズを取り始める。

思ったより言葉が効いたので、驚きながらネスが言った。

「ごめん、冗談だよ。なかなか起きないから・・・」

「冗談!?」

「インチキギャンブラーを捕まえるためだよ。周りの観客に妨害されちゃったんで、

 プリンに歌ってもらって眠らせたんだよ」

「ああ・・・そうだったなあ。・・・・そういえば、周りの観客がみんな寝ているなあ・・・」

「さあ、みんな眠っている間に、インチキギャンブラーを捕まえよう」

「そうだな・・・」


「おい、そっと運ぼうぜ」

「うん。わかってるよ」

ネスとマリオはインチキギャンブラーを担架に乗せ、運び出していた。

バトルステージの出入口には、パトカーと警察がいる。もちろん2人が呼んだのだ。

運び出されるインチキギャンブラーを見た警官達がこう言った。

「あー!こいつはインチキギャンブルの常習犯で指名手配中の男だ!」

警官の反応に、マリオが驚いて「あ・・・は・・・そうなんですか」と言った。

「いやーお手柄ですよ。こいつは、いろんなところで格闘系スポーツの会場でギャンブルを開催するんですがね、

 倍率の高い選手に光を当てたりして妨害して低い倍率の選手が勝つように仕組むんですよ。

 しかも、光を当てられたのが原因で負けた選手って“光を当てられたのが負けた原因だ”なんて

 言えないじゃないですか。負けた言い訳みたいで。それも計算のうちなんですよ。」

「・・・やっぱり・・・」

ネスがつぶやいた。さらに警官はインチキギャンブラーを指して説明を続けた。

「それに、賭けた人って、こいつに賭け金を預けてるんで、勝敗がきまるまでは、

 こいつの親衛隊状態なんですよ。捕まったら賭けたのが当たっても、

 自分の所にお金が入ってきませんから。不正しても捕まらないように周りを取り囲んだりとか」

「・・・・」

「とにかく、お疲れ様です。インチキギャンブラーは、こちらで引き取ります」

警官がそう言うと、ネスとマリオは「お願いします」と言って担架を降ろした。


インチキギャンブラーは捕まったが、それでこの件は終わらなかった。

ネスとマリオはバトルステージに戻った。

観客と、バトルステージのカービィとゲーム&ウォッチは、まだ眠っている。

とととっ、といった感じで、プリンがネスとマリオのところに駆け寄って来て、こう聞いた。

「ここの人達を、どうやって起こすんでしゅか?」

さっき説明したとおり、プリンの歌声で眠らされた者は、なかなか起きないのだ。

「うーん・・・どうしようか・・・とりあえず、バトルステージからマイクで大声で呼びかけてみるか・・・」

バトルステージの音響のマイクで大声で起こそうかとネスは思ったのだ。

ステージにネスとマリオとプリンが立った。そしてネスがマイク片手に大声で観客に呼びかけた。

「みなさーん!起きてくださーい!」

「起きてー!」

「起きてくだしゃいー!」

マイク片手に、観客に呼びかけながら、バトルステージを右往左往するネスだったが・・・・

何かマット状の物を踏んだような気がした時、足元から声がした。

「ふぎゃ!」

「何だ・・・?何かマット状の物を踏んだような・・・・」

ネスは、音がする方向を見た。

「・・・・」

「・・・・・・・・」

踏んだのはゲーム&ウォッチの身体だった。

「いてて・・・・」

「ごめん・・・そこで倒れてるとは・・・」

「ああ・・・バトル中にプリンの歌声で眠らされたんだっけ・・・」

そう言って起き上がったゲーム&ウォッチの腹部には、ネスの靴底の形がくっきりとついていた。

さっき踏んでしまった跡だ。その足跡を払い落とし、観客席を見回す。

ネスが「昨日、観客席から光を当ててきた人がいたのは、わかってたよね・・・?」

と聞いてみた。

「・・・。」

返事はなかった。客席から妨害されたとか そういった言葉は言い訳になってしまうからなのだろう。

また、故意でなくても、客が身に着けているアクセサリー等が反射してその光が顔に当たるという事も

よくある事なのだ。

「マリオとプリンに協力してもらって光を当てた奴を捕まえたんだ。」

「捕まったのか・・・」

「光を当ててきた奴は、僕たちのバトルで賭けをしてたんだ」

「別にバトルを利用しての賭けは問題ないと思うんだが・・・」

「倍率の高い人に光を当てて、戦いを不利にしたんだよ」

「・・・」

そこに「こらネス!」とマリオの声がした。

「呼びかけないのなら、マイクよこせ」

「あっ・・・ごめんね」

ネスがマイクをマリオに手渡した・・・・その時。ピンク色の物体が間に入ってきた。

「僕が歌うー♪」

ピンク色の物体はカービィだった。いつの間にか起きたようだ。

「こ、こらカービィ。このマイクは眠ってしまった客達を起こすための物だ、取るんじゃない!」

「じゃあ、僕の歌声で、お客さん起こすー♪」

カービィの歌唱力がどんな物かは、みなさんご存知だろう(敵を全滅させるほどの破壊力があります)

「やめんか!起きるどころか2度と起きなくなるぞ!」

「いーじゃん、ちょっとぐらいー」

カービィがそう言ってマイクをマリオの手からひったくった。そして、マイクのスイッチをONにして歌い始めた。

「わああああ!」

青くなりながら声を上げるネスだが、直後首をかしげていた。

「・・・あれ?」

ステージ内の音響設備(この場合スピーカー)からカービィの声が出てこなかったのだ。音響マシンのところにはプリンがいた。

カービィがマリオの手からマイクを取ろうとした時に、気を利かせて音響マシンのスイッチをOFFにしたのだ。

そしてプリンはバトルステージの方に戻ってきた。

客には害が降りかからないようになったとはいえ、カービィの歌声に直面しているステージ上の4人には堪えてる様子だった。

耳をふさぎながらマリオが言う。

「カ・・・カービィ、歌うのやめてくれ・・・」

ネスも同様に、耳をふさぎながら言った。

「観客を起こす前に、カービィの歌声をなんとかしないと・・・」

ところがプリンは反対の事を言った。

「逆に観客を起こすのを先にすれば、いいんじゃないでしゅか?」

確かにそちらが優先なのだが・・・・

「誰かマイクを使わずに大きな音を立てられる人いないでしゅか?」

「それがいないから困ってるんだよぅ・・・・いや、ちょっと待って。音を出せる人ならいるよ!」

ネスのこの言葉にマリオが「そうだったな、いたなあ!」と、つぶやいた。

そして、ネスとマリオが同時にその者の背中をバン、と叩き、「頼んだよ!」と言った。

背中を叩かれた者はゲーム&ウォッチである。

「ああ・・・・・アラームの事ですね・・・」

彼はそう言ってベルを取り出し、数回軽く振って音を確認すると、大きな音で鳴らし始めた。

「アピール以外で鳴らしているところって、初めて見るなあ・・・」

と、ネスがつぶやくと、マリオが言った。

「そうか・・・初めて見るんだな。実は平面の国では いろんな所でいろんな人や動物が

 ベルで時間を知らせたりしてるんだ(原作アラーム機能)。小島ではサル(原作パラシュート、アラームモンキー)とか、

 海底では子ダコ(原作オクトパス、アラーム子ダコ)とか、工事現場では作業員(原作ヘルメット、アラームおじさん)とか・・・」

「へえ・・・・」

バトルステージでベル音が鳴り響く。その音で観客は次々と起きだした。

その状況を見たカービィは「ひどいよ、僕が歌ってるのにベル音で邪魔するなんて〜」と、

マイクを置き、床の上で転がってふてくされた。

さっとネスはマイクを取り、プリンに音響マシンのスイッチをONにするよう言った。

ベルを鳴らし続けているゲーム&ウォッチは、過半数が起きた時点で、

「これぐらいでいいかな・・・」と言ってベルを鳴らすのをやめた。

起きた観客達は、後ろの席を見て騒ぎ始めた。

「おい!あの男がいないぞ!」

あの男とは、ギャンブルの大元の男の事である。

「金持って逃げたのか!?」

「どこの行ったんだー!」

騒いでいる人達の気をバトルステージに向けるため、再びゲーム&ウォッチはベルを鳴らした。

そして、ネスがマイクを手に話し始めた。

「みなさん、聞いてください。ギャンブルを開催していた人は、先ほど捕まりました」

この言葉に、観客たちは再び騒ぎ出した。

「俺はあいつにコイン30枚預けたんだぞ!」

「ワシは100枚だ!」

「私のヘソクリがあーーー!」

「どこに行ったんだ!賭け金だけでも返してもらうぞ!」

再び、先ほどと同じくゲーム&ウォッチがベルを鳴らした。『静かにしてください!』という意味ではあるのだが、

賭けた人にとってはただの騒音であった。

「うるせーぞ!黙れ!」

「あの男はどこに行ったんだ!?」

その野次に対してネスが説明を続けた。

「ギャンブルを開催した人は、パトカーに乗せられて行って、今は警察にいます」

ネスの説明に観客の一人が「ここにいる場合じゃないぞ!あいつを追いかけよう!」と言った。

「そうだ、早くあいつを見つけて賭け金をかえしてもらおう!」

「そうだそうだ!」

この言葉を皮切りに、観客達は出口に殺到した。

そして数分後----

観客席に残った人数は、全体の2割程だけになった。


「・・・・・」

ネスはバトルステージの上で、ぼう然と立ち尽くしていた。

「僕たちのバトルを見に来たのって、これだけなの・・・・?ここに来たほとんどの観客が、ギャンブルが目的だったの?」

そう言ってネスは、「何のためにバトルしてるんだろ・・・」と、その場に座り込んだ。

そこにマリオが「こら!」と言ってネスの背中を叩いた。

「・・・・?」

ゆっくりとネスは振り向いた。

「それじゃ聞くが、ネスは何のためにバトルをしてるんだ?たくさんの人に見てもらうためか?」

「・・・・・違う・・・・・」

「だったら、観客の人数が少なくても別にいいじゃないか」

「・・・・」

「ほら、立てよ」

ネスはマリオに手を引かれ、立ち上がった。


しばらくして、この日のバトルの仕切り直しが行われた。

先ほどの件を除けば、本日のバトルは無事に終わったのだった。


さて翌日。

この日の第一試合に出るネスは、やはり、観客の数が気になった。

もちろん、観客に見てもらうためのバトルではないのだが----

ネスは、バトルステージの脇に行き、観客席をのぞいてみた。

観客席は、いっぱいだった。もちろん、インチキギャンブルをする人達も、いなかった。

実は昨日まで、ほとんどの座席チケットを買う人数をギャンブルに参加する人達が占めていたので、

本当にバトルを見物に来た人がチケットを買えずに入場できなかったのだ。

「第一試合、ネス VS Dr.マリオ!」

アナウンスが流れ、ネスはあわててバトルステージに駆け込んだ。

そして、Dr.マリオと正面同士に立った。

「LEADY GO!」

アナウンスと共に、バトルが始まった----



<おわり>


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ひさしぶりの小説リクエストでした。・・・なので、日数かかりすぎました(爆)


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とってもRuiな部屋♪
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