「なんだか密会みたいだな」

「時間的にはね。でもこの時間でも起きてる住人は結構いるわよ」

「そうだな」

時間は深夜。 この時間は『島主』は、ほとんど来る事がない。

稀に来る事は、あるのだが・・・。

昼間2人で会ってると、『島主』の訪問により部屋の訪問者側は部屋を出なくちゃいけなくなるのだが、

深夜のこの時間だと、ゆっくり会う事ができるのだ。

「それにしても、いつもいつも私たちが2人でいる時に訪問してきて、まるで邪魔しに来るみたいだわ」

「俺たちの交際を快く思ってないなら、どうしてマリエの告白に反対しなかったんだろ」

「どうせタカの方が断るだろうって思ってたんじゃない?」

「何であれ、一応は告白させておく、って事もあるかもしれないな。 昨日の件もそうだったし」

昨日の件とは、タカにはマリエという恋人がいるにもかかわらず、タカに想いを寄せている住人に告白させたという事だ。

但し、恋人がいても相手を不満に思っている場合は、告白してきた側に乗り換える、という事もありえるのだが、

タカとマリエは現在は相思相愛なので、それは起きえないのである。

「マリエ。 俺、考えたんだけどな・・・」

タカがそう話し始めた時だった。

ピンポーン♪

『島主』訪問のインターホンの音がした。

それに反応するかのごとく、2人は同時に驚き顔になった。

そして、規定に基づき、タカは自分の部屋に戻っていった。


「『島主』さん、こんばんは」

マリエが訪問してきた『島主』に、挨拶をした。

「眠いです」

マリエが言った。

「ああ、眠いときに訪問して悪かったね」

『島主』はそう言うと、マリエにコーヒーを差し入れて帰っていった。



「ますます、わけがわからなくなったわ」

マリエがつぶやいた。

「そう言いながらも、『島主』の差し入れのコーヒーは、しっかり飲んでるんだね」

と言って、タカは笑った。

「だって、『島主』さんがくれた飲食物は、やはりその場で飲まないと・・・」

マリエが言った。

時間は、明け方に近い時刻であった。

さきほどマリエの部屋に訪問した『島主』が戻るタイミングを見計らって、タカがマリエの部屋に戻ってきたのだ。


「マリエ。 俺、考えたんだけどな・・・」

タカが真顔で言った。

「・・・そういえば、その話を切り出そうとした時に『島主』さんが来たんだったわね」

「そうだったな。 改めて言う。 もう、『島主』が邪魔してくるのに対してびくびくするのは、俺は嫌だ」

「-----どういう事!?」

タカの言葉に、マリエは驚いて言った。

「もう俺たち、恋人同士でいるのは辞めようと思うんだ」

「-----タカ!?」

涙目でマリエはタカの顔を見た。

しかし構わずに、タカは小さな箱をマリエの手に、強引に置いたのだった。

「何よこれ・・・」

手に置かれた箱を、マリエは開けてみた。

箱の中身は----指輪だった。

「・・・つまり、そういう事だ」

タカは うつむいて赤面しつつ、やや小声でそう言った。

「・・・タカ・・・」

マリエは指輪を左手の薬指にはめた。 そして、タカに抱き着き、こう言った。

「・・・あなたのお話、そしてこの指輪を・・・お受け致します・・・」

「よかった。 断られたらどうしようかと思ったよ」

「断るわけないじゃない・・・」



----タカ!

ブルースカイ島と違った“空間”から、声がした。もちろん、住人及び『島主』には聞こえないのだが。

----オレと同じ道を歩んだんだな!

この声の主は、マリエの夢に出てきた謎の男の声である。

----このままだと・・・オレと同じ事になるぞ!

しかし、彼は、今の状態では何もできない。

もどかしさが、彼の中で一杯になっていく・・・



翌朝。

恵みの噴水で、住人全員が募金をし終えたあと、マリエとタカは、各自自分の部屋で待機していた。

部屋を訪問してきた『島主』に、タカは言った。

「ちょっといいですか?」

お話があります。 ちょっと長いですがいいですか、と、前置きをして、タカが話を始めた。


「私たち、結婚する事にしました」

マリエと一緒に、タカが言った。

そして、「これ・・・受け取ってください」

と、マリエが『島主』に、厚い物を手渡した。

手渡した厚い物とは、アルバムであった。

そのアルバムは、いわゆる結婚アルバムだった。

式場で腕を組んで歩く姿をはじめ、海辺を一緒に歩く姿、一緒に買い物をする姿、部屋で2人で肩を組んでソファに座ってテレビを見る姿、

・・・などなど、幸せそうな姿を撮影した写真をまとめたアルバムであった。

「そうか、結婚したんだね。 おめでとう」

『島主』は、結婚アルバムを受け取り、普通にお祝いの言葉を2人にかけたのだった。


表向き、何もなかったかのように、マリエとタカの件は過ぎていくかと思われた。

確かに“何もなかったように”、時は過ぎていった。



後日。

「・・・。」

「どうしたの?」

「あ、いや・・・」

ある部屋の入口ドアを凝視しながら、「この部屋って、前から空き部屋だっけ?」と話す者がいた。

「えー・・・。 空き部屋だったよね・・・? ここに人が住んでた記憶ないし」

「そうだよな・・・。 なんか気になったんだよ・・・」

空き部屋の入口ドアを凝視しながら首をかしげつつ、タカが言ったのだった-----


その空き部屋には、かつて女性が住んでいた。

しかし、住人はその記憶が全くないのだ。

もちろん、その女性住人には夫がいたという記憶さえもない。





-----「・・・・・・。」

場所はブルースカイ島と違った所で島の住人が『島主』と呼ぶ人間が住んでる世界。

『島主』は、数日前に住人のタカから受け取った結婚アルバムを手にしていたが、

やがて乱雑に物置の中のアルバム置き場に置いたのだった。

そのアルバム置き場には、たくさんの結婚アルバムがある。

マリエとタカのアルバムだけじゃなく、マリエと夢に出てきた謎の男、つまり元住人の男が一緒のもの、

他にも現在夫婦として住んでる住人のが写ってる物など、実にたくさんのアルバムが置いてある。


この世界のこの島は、島の創設者である『島主』が支配する。

『島主』は、あくまで住人の悩みを聞いたり手助けをしたりする、言わばサポート役なのだ。

しかしそれは、いわゆる建前であった。

確かにサポートはしているが、住人が大勢いると、やはりどうしても、気に入る事・気に入らない事も出てきたりする。

人員整理として住人を『遠くへ引っ越し』させる事もある。 あくまでこれは人員整理のための権限なのである。

『遠くへ引っ越し』した住人の記憶が消えるのは、今後交友する事がないので記憶する必要がないため、

島自体に仕組まれている事なのであった。

しかし消えるのは記憶だけではなく存在事態もだった。 『遠くへ引っ越し』は、あくまで表向きの事である。



ブルースカイ島のマンションには今、2つの空きがあるが、近いうちにその空きも埋まる予定だ。

今日も何もなかったかのように、平和な日々が訪れる。



<終わり>


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読んでいただき、ありがとうございます。

トモコレのMii視点の小説です。

実際のプレーヤー(この小説では『島主』表記の登場人物)は、

やっているうちに、「この住人は、好きだと言ってる住人とは別の住人と恋人になってほしい」とか、

「この住人と、この住人と仲良くしてほしい(合わないとか結構ある)」とか、

住人Miiの意思を無視してしまう事って結構ありますよね。

極端な話、気に入らない展開になると住人Miiを削除したりとか・・・。

それを小説化しました。

あくまでMiiから見たら、『島主』は謎の人物だという事なんですが、結構表現が難しかったです(^^;)

(あ、管理人Ruiは気に入らない展開の住人を消したりした事はないですよ! 念の為・・・)


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