もらった世界の半分を楽しみつつ、竜王のボディーガードとして、

勇者気取りや英雄気取りの侵入者を撃退する毎日だったニコラスだったが-----


ある日の事。

「うわああああーーーーっ!!」

竜王の城の、ある部屋から悲鳴が上がった。

ニコラスの声である。彼は大ケガを負い、ひざを付いていた。

そしてニコラスの正面には、彼と同様にガッチリした鎧に身を包んだ若者が立っていた。

「オレの名はカイマ!ツバサの従弟(いとこ)だ!」

「お前もツバサと同じく、ロトの称号を受けた勇者の子孫なんだな?」

ニコラスが聞くと、カイマは「そうだ!」と答えた。


「へへっ、面白いな。確かにお前も勇者の子孫だけど、

 ツバサと違って、ロトの称号を受けた者が使っていた武器防具を持たないから、

 俺に勝っても竜王様には勝てないんじゃないのか?」

「なんだと!?」

「それにツバサは竜王様に負けたんじゃないんだ。俺に負けたんだよ。正確には俺1人だけじゃないんだけどな」

「なん・・・だと・・・」

信じられない、といった感じでカイマは言ったのだった。


今のニコラスの状態は、カイマの攻撃により、かなりの大ケガを負っている。

「俺に勝てても竜王様に勝てるかな?」

そんな事を言っていたのだが-----


カイマはこんな事を聞いてみたのだった。

「見たところ、お前は竜族でもなく他の系統のモンスターでもなく、普通の人間のようだが」

「確かに俺は、数か月前に竜王様の味方になった人間の戦士で、竜族でもモンスターでもないが・・・」

意外な事を言われて驚くニコラスだが・・・

「洗脳されてる様子もなく、自分の意志で竜王の手下になったようだな」

「手下じゃない!味方だ!」

「味方・・・か。おそらく竜王が『自分の味方になれば世界の半分をやる』って言われて味方になったんだろう」

「・・・その話を知ってるって事は、お前も世界の半分をもらいに来たのか?」

「いや違う。その逆だ。それに今は、お前は傷だらけだ。このままオレとの戦いを続けたら、命を失う事になるぞ」

「だから何だ?」

「オレの味方になれば、命は助けてやる」

「何言ってるんだ?!ふざけるな!第一俺は、竜王様の味方になって本当に世界の半分を頂いたんだから、裏切るわけにもいかないんだ!」

「しかし・・・このまま俺と戦い続けたら命を失う事になるから、自分が得た世界の半分も失う事になるんだが・・・」

ニコラスは、大声でこう言った。

「そうなっても構わん!」

「・・・わかった・・・」

静かにカイマはそう言ったのだった。


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