しかし休憩するにしても、その辺で座ってピクニックのようにくつろぐわけにもいかない。

それだと尚更モンスターに見つかる可能性もある。


「・・・仕方ない」

ツバサの判断は・・・洞窟から近い村、つまりマイラの村の宿屋で泊まる、という事であった。

もちろん彼には、やましい考えなどない。相手はお姫様なのだ。


「村の宿屋で休憩ですか?うれしいですわ!」

むしろローラ姫のほうが喜んでいるのだった。

「お城にいたら、外泊なんてできないんですもの!」

「な・・・なるほど。確かにお姫様って外泊できないしなあ・・・」



やがてマイラの村に着いた2人は、さっそく宿屋に入るが・・・

「おい!勇者が女を連れてるぞ!」

なんて村人が騒いだりする者が現れたりしたのだが、

「おいおい、『英雄色を好む』って言うじゃないか。女の10人や20人ぐらいいるだろ?」

と、とがめられたのだった。

ただ、その者たちは、ツバサが連れてる女性がローラ姫であるというのは知らなかった。


「お城にいると、温泉なんて楽しめないんだもの!」

まるで旅行に来たかのように、ローラ姫は楽しんでいた。



そしてその夜。

「綺麗な星空・・・」

宿の部屋のベランダに出て、ローラ姫が言ったのだった。

「夜空を見ること自体、久しぶりだわ・・・」

「ずっと洞窟に閉じこめられてましたもんね・・・」

ツバサはローラ姫の横に立った。

もちろん身体をくっつけようとか、肩を抱いてみようとか、そんなやましい考えは無い。


ベランダで夜空を2人で見る光景は、少々ロマンチックではあったものの・・・

しばらく夜空を見ていた2人だが、やがてツバサはこんな質問をした。

「気になってたんですがローラ姫」

「はい」

「ラダトーム城内にいたところを魔物にさらわれたのでしょうか?

 それとも、城から外出中にさらわれたのですか?」

「やはり気になります?」

「はい」

するとローラ姫はクスクスと笑いながら、「やはり気になりますよね」と言ったのだった。


「お城の裏には花壇があって、そこで飛び回っている蝶々を追いかけていたんです。

 そんなにお城から離れてない場所で、突然腕を掴まれて-----」

「まさか、その蝶々って・・・」

「はい。蝶々のモンスターが普通の蝶々に化けていたものでした」

「ああ・・・仕組まれた誘拐のような形だったんですね・・・」

とはいえお姫様だと、綺麗なものを追いかけてみたりするのも当然だし、好奇心が他の者より強いという事もあるのかもしれないから、

花壇を飛び回る蝶々を追いかける事は、何事もなくやってしまう事なのかもしれない。


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