「な。 言った通りだろう」

マスターハンドが言った。

「確かにな・・・」

少々驚きながら、クレイジーハンドが言った。

「我々も予想はしてたんですけど、正直予想を越えてましたねえ・・・」

スマブラバトルイベント運営本部の事務所スタッフも、そう言った。

彼らの前には、たくさんの一般参加希望者から送り返されてきた書類が山ほど置いてある。

もちろんこれらは、全部事務所スタッフとマスターハンドとクレイジーハンドが目を通した物だ。

「こういうのは、書き方説明をよく見ずに書いて、規定通りの書き方になってなくて、書類選考以前の時点で多くの人がふるい落とされるんだ」

もちろん書類は、書き間違いをしやすいような意地悪なデザインではないのはもちろん、書き方の説明もシンプルにしてある。


書類の山は、3つに分けられていた。

1つは、規定通りに書いてなかった分。

もう1つは、書類の記入内容に不備があったり、明らかにスマブラバトルに向かない人の分。

スマブラバトルに向いていない人とは、スマブラバトルに対して勘違いや的外れな考えを書いている人の事である。

もう1つは、上記2つに当てはまらなかった分。

最初と2つ目は、書類で不合格になった分だ。

そして最後の1つは、書類合格した分だ。

書類合格した分は、送り返された書類の量の約3割程だった。

3割ほどになったとはいえ、これでもまだ、かなりの量だ。


「実は予想してたんですが」

事務員が言った。

「こういう郵送書類って、記入事項以外にも守らない人もいる、というのは、よくある事なんですが・・・」

その直後、事務所出入口からバサバサっと音がした。 郵便受けに何かが入った音だ。

その音を聞いた事務員が、やっぱり、といった感じの顔をして、事務所出入口へ向かって行った。

そしてすぐに戻ってきた。 手には何枚かの封筒があった。

「それは、もしかして・・・」と、クレイジーハンドが聞いた。

「その通りです」

事務員がそう言って封筒を見せた。 スマブラ参加希望の書類が入った封筒である。

締切日はとっくに過ぎている。 そして現に書類選考は終了している。

今届いた封筒は、締切日を守らずに送ってきた者達のものだ。

ただ、それらの者は、故意に締切日を守っていない訳ではなく、単に締切日を間違えたり勘違いしたりした事によるものだ。

中には、少しぐらい遅れてもいいんじゃないか、という考えの者もあるかもしれないが・・・

もちろん、それらは書類に目を通すまでもなく不合格だという事だ。


事務所は再び忙しくなった。

今度は書類合格した者へのお知らせの手紙を送るためだ。

それと同時に不合格になった者へのお知らせの手紙も送る。

もちろん数が多いので、文章は予め印刷してある。記入するのは名前や宛先の住所ぐらいだ。

ただ、重要なお知らせという事もあり、名前の誤字はするな、と、事務員には念を押してある。

あと、書類合格者に送る手紙の便箋や封筒には、特殊加工がしてあり、通し番号が付けられてある。

これは合格のお知らせの手紙を人に譲ったり転売したり、偽造コピーしたりするのを防止するためである。

もちろん、合格者が「行けなくなったので、他の人に権利を譲ります」というのも不可だ。



事務所の隅のホワイトボードを見ながら、マスターハンドが「予想はしてたけど、やはりバラつきがあったな」と言った。

同じくホワイトボードを見ながら、クレイジーハンドが「これは仕方ないとしか言えないけどな」と言った。

ホワイトボードには、書類合格した一般参加Miiの、戦闘の種類の集計が書かれてある。

バラつきがあるというのは、剣士・格闘・ガンナーの、各タイプの人数の事だ。

数が一番多かったのは剣士だった。 次いで格闘、そしてガンナーの順だった。

後日、トーナメント式で選考戦を行う。

スマブラに参加できる一般参加Miiは、剣士・格闘・ガンナーの各1人の合計3人だけだ。

選考戦に負ければそこで失格となる。 敗者復活戦などない。


「あのー・・・」

背後から声がした。 声の主は事務員だった。

「一般参加Miiの事なんですが、名称を変えたらどうかなと思うのですが・・・」

マスターハンドが「名称を?」と聞き返した。

「ああ確かに変える必要があるな。 マリオカートのように1カップ4レースのワンセット1回だけの参加とは違って、

 他の選手と今回のバトルイベント終了まで選手として参加する形だからな」

クレイジーハンドがそう言った。

「なるほど。 確かに一般参加という名称をずっと付けてるのも、なんだかな。

 すぐに名称変更の答えは出せないが、選考戦までには考えておいたほうがいいな。

 うむ、ありがとう。 通知を送る仕事に戻ってくれ」

「はい」

事務員はそう言うと、自分の席に戻って行った。




場所は変わって、スマブラバトル運営事務所前。

そこにはマスターハンドとクレイジーハンドと、大勢のスタッフがいる。

ここにいるスタッフは、さきほど一緒にいた事務員と違い、

スマブラのバトルステージを組み立てたり調整したり、ここバトル会場のある土地の工事や建築をする担当者である。


「これが、今回の、バトルイベント開催地の予定図だ」

マスターハンドはそう言って、大きな紙を広げた。

「従来と違って今回は、かなり大がかりな世界となる。」


スマブラバトルイベントの会場のある土地は、最初はシンプルなものだった。

バトル会場があり、その隣にはバトルに参加する選手の寮があり、あとは観戦者のための簡単な施設があるだけで、本当に簡素なものであり、

バトル会場はもちろんの事、この地を作るのは、マスターハンドとクレイジーハンドの魔力だけで充分であった。

しかしバトルイベントの規模が大きくなるにつれ、施設を大きな規模で造る必要性がが出てきて、

だんだんマスターハンドとクレイジーハンドの魔力だけではとても無理な状態になってきた。

そのため、会場や土地を作ったり調整したりするスタッフを雇うようになったのだ。

そして今回、かなり大がかりな物となり、これまでにないスタッフの増員もする事になった。


スマブラは出場する選手が活躍する世界を模した舞台を造り、そこでバトルするのが恒例だ。

そして選手の人数が増えるとともに、バトルする舞台の種類が増えていく。

また、選手が増えるにつれ、バトルの観戦者も増えるという事にもなる。

なので当然、この地の規模も大きくなるという事で-----


「設備設置や規模の大きさだけ聞いてもピンとこないと思う。 たとえ設計図を見たとしてもな」

マスターハンドがそう言うと、一旦設置する施設の設計図を仕舞い、別の紙を出して見せた。

その紙を見たスタッフたちが、騒然とし始めた。

見せた紙というのは、今回のスマブラで登場する世界の一覧表だった。

従来のマリオワールドやゼルダの伝説、カービィやポケモンなど、おなじみの物はもちろんのこと、

これまでにないトモダチコレクションや どうぶつの森、パンチアウトなどの世界もあり、かなり壮大な数であった。

「今回は設定予定している世界は、かなりの数になる。 そのため、バトル会場は複数個所にするつもりだ。

 そしてバトル会場に限らずに、この地にはいろんな世界を模した土地を設置する予定だ」

「バトル会場に限らずに、いろんな世界を模した土地を設置って・・・。 一体どうしてですか?」

スタッフが聞いた。

「・・・ちょっと言いにくいんだが仕方ない。 実はこういった華やかな舞台には、費用がかかる。 舞台設置はもちろんの事、スタッフの雇用もな」

「確かにそうですが・・・」

「この地にバトルを見に来た人は観戦だけでなく、いろんな世界を再現した設備を利用してもらう事で、費用を賄うという形にしようと思ってるんだ。

 なんか夢を壊すどころか、かなり現実的な言い方だけど、実際はそうなんだよな・・・。 うん」

「要は観客にはバトル観戦以外にも、この地で観光もしてもらって、それにより費用を賄うって事ですよね」

「ああそうだ。 もちろん儲けようなど考えてない。 大赤字にならない限りはそれで充分だ」


とはいえ、この地にいろんな世界を模した土地を作るものの、スタッフが造るのは、あくまで大まかな物だ。

仕上げはマスターハンドとクレイジーハンドの魔力により完成させるのだ。


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