やがて月日は流れ、ウーフーアイランドの雨季がやってきた。

「・・・」

やや憂鬱な感じで、ユウナは窓越しに外を見ていた。

そんな様子のユウナを、リョウは見ていた。


「・・・ちょっとミサキに電話してみるかな」

そうつぶやき、リョウは公衆電話のある場所に向かっていった。


ジャラジャラッ・・・

多めに小銭に両替をし、リョウは公衆電話の受話器を手にした。

そして長い電話番号を押し始める。


現在は、あの迷子の件と同じ、ウーフーアイランドでの雨季である。

ミサキが今いる場所も、ウーフーアイランドと同じ時期に雨季がある。

なので、話を聞こうと思ったのだが----


「リョウといいます。 はい、ミサキがウーフーアイランドで勤務していた頃に同僚だった者です」

ミサキの勤務地の事務所へ電話をするリョウだったが、思わぬ事を耳にするとは思いもよらなかった。

「えっ、休暇中!? いつからですか? ・・・雨季に合わせて休暇を取ったんですか・・・」

ミサキの勤務地の方でも、同様に雨季は観光客・スポーツ者は少ないという事もあり、この時期に休暇を取る者も多いのだ。

「何か聞いてませんか?」

その返事は、思わぬ事だった。

「休暇を取ってウーフーアイランドに行くって言ってたんですか!? 会いに行く人がいるって・・・」

こっちに来るなら言ってくれてもよかったのに、と思いながら、リョウは電話の向こうの人の話を聞いていた。

「あー・・・、はい。 わかりました。 すみません、失礼します」

少々呆然とした様子で、リョウは受話器を戻し始めた。

やや大きめなガシャンという音と、返却口にお釣りが落ちる音が響き渡る。


-----会いに行く人がいるって誰だよ!?

・・・あ、個人的なものなら追及しないけどな・・・


あれこれ考えているリョウだったが・・・

ピーピーピーピーピーピー

腰に着けている無線の呼び出し音で我に返った。

「はいリョウです」

「大雨の中、強引にロケットベルト飛行をしようとしている人がいて引き留め中です。 手伝いお願いします!」

無線は後輩の隊員だった。

「場所はどこだ?」

「タウンです。 ミッションフライトのリング・タウンが やりたいそうで・・・」

「わかった。 すぐ行く」

リョウは無線を腰に戻すと、手早くレインスーツを着始めた。

「やれやれ・・・。 どう見てもこんな天気じゃ、全部のリングをくぐるのは無理だろ・・・」

ぼやきながら用意をするリョウだったが・・・

ピーピーピーピーピーピー

再度無線の呼び出し音が鳴った。

「はいリョウです」

「ヴィラ・コソコソでケガ人発生です。 ケガは救急車やドクターを呼ぶほどではないので、応急処置したところです」

今度は別の後輩隊員からだった。

「了解。 他の隊員に救急箱持っていかせる。 担架で運んだ方がいいか?」

「担架もお願いします」

「了解」

リョウは無線を切ると、窓越しに雨模様を見ているユウナの方を向いた。

「さっきの無線聞いたよな。 休憩時間中すまんが、ヴィラ・コソコソに救急箱と担架を持って行ってくれ」

ユウナは少し驚いた様子で「はい」と答え、医務室に向かった。救急箱と担架を借りるのだ。


リョウはレインスーツを着終えると、走ってタウンの方へ向かった。

そんなリョウの姿を見た観光客が、こう言っていた。

「雨季のわがまま客に振り回されて大変だねえ」

雨季を避けて来る者は多いが、逆に、客が少ない雨季に、あえて来る観光客もいる。

リゾート地によくある、『シーズンオフに来る観光客』である。



数時間後。

いくつかの生傷が身体についた状態で、リョウは戻ってきた。

一緒に戻ってきた隊員も、同様にいくつかの生傷がある。

「やれやれ。 雨季に必ず現れるタイプとはいえ、今回は酷かったな」

「ですねえ」

なんて会話をしていた。

「おかえりなさい。 大変でしたね」

苦笑いをしながら、フロント受付係が言った。

「ただいま。 かなり抵抗してたよ。 やっと取れた休暇なんだから、黙ってさせてくれよ! って、かなり暴れてたんだ」

「その人は、今は『お持ち帰り』されたの?」

「もちろん、『持ち帰り』してもらったよ」

あまりにも悪質な場合は島のポリスに『お持ち帰り』してもらう事もある。

だだこれは、逮捕されるというわけではない。 あくまで、『署に連れて行って、こってり絞られる』程度なのだ。

但し、度を超えた悪質ぶりなら話は別だが・・・

「今医務室に医務担当者がいるわ。 早く手当してもらいなさい」

「ああ。 今から行くところだ。 殴られまくって正直痛い・・・」



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