静かな部屋に、1人の女性がいた。

彼女は、部屋の隅にある姿見をみて、自分の姿を確認していた。

「・・・よしっ!」

もちろん確認していたのは自分の姿だけではなく、自分が身に着けている装備品のチェックであった。

「異常なし!」

さらに装備品の確認もする。

「燃料残量も問題なし!」

彼女は確認を終えると、静かな部屋を出た。


静かな部屋の出入り口のドアを開けると、その先は一転して、かなり人の話し声がする場所になっていた。

「あら、もうそんな時間なのね、ミサキ」

部屋を出た女性に話しかける者がいた。

「今日は夕方から巡回なの」

この女性の名前はミサキ。ウーフーアイランド滞在者の安全を守るが仕事である。

要するにライフガードと警備員を足した感じの仕事だ。

そして、話しかけていた者は、ウーフースカイクラブのフロント係員の女性だった。

「気を付けていってらっしゃい」

「はい、行ってきます」

そう言ってミサキは、外へ出た。そして辺りを見回し、「周辺に人はいないわね」と確認すると、

装着しているロケットベルトで飛び始めた。今日は空からの巡回なのである。

彼女が装着しているロケットベルトは、スカイスポーツを楽しむ者達が使っている物とは違うタイプだ。

スカイスポーツを楽しむ者が使っているのは、空の散歩やミッションフライトなどの種目を楽しむための物なので、色々と制限がかけられているのだ。


「ただいまー」

巡回から戻ってきたミサキは、正面入り口のフロント受け付けの方を見た。

フロント係員の女性は、ドイツ語で来場者に応対中であった。

「いつもながら、すごいわねえ、あの人」

ミサキは感心して見ていた。

ウーフーアイランドはいろんな国の人が来る。

そして同様に、設備係員もいろんな国の人がいるのだ。

フロント係員の女性は、いろんな国の言葉で応対をしているのだ。

もちろん日本人のミサキに対しては日本語で話している。

「あらミサキ、お帰りなさい」

フロント係員の女性が言った。

「あ・・・ただいま・・・」

「どうしたの?」

「いや、いつもながらすごいなあって思って」

「私は仕事で必要だからよ」

「何カ国語が話せるの?」

「そうねえ、7カ国語かしら。簡単な会話や文字の読み書きを含むと、10カ国は超えるわね」

「すごいわねえ」

「あら、ミサキだって英語が話せるんでしょ?」

ミサキの場合も、仕事で必要に迫られて英語を覚えたのである。


ある日のこと。場所はミサキが住んでいる寮の部屋。

「今日もいい天気ねえ」

空を見上げながらミサキが言った。

「さあ、今日は夕方から巡回だし・・・寝るとするか」

そう言って彼女はカーテンをしっかりと閉めてベッドに入っていった。


「今日は何事もなければいいんだけどな・・・」

ウーフースカイクラブの従業員用ロッカールームで、着替えながらミサキがつぶやいていた。

しかし安全を守る仕事というのは、何事もなく終わる日があるのは、ごく稀だという事で----

「まあ何事もなければ、こういう仕事なんて必要ないわよね」

滞在者やスカイスポーツを楽しむ者の安全を守る、といっても、色々あるのだ。

ケガ人の保護・応急手当、危険行為者の阻止、犯罪の防止、設備の不備の発見、そして迷子の保護など。

迷子の保護は誘拐防止の意味もある。


カチャ。

従業員用ロッカールームのドアを開けると、ミサキは賑やかな声に包まれる。

これはいつもの光景である。あちこちから利用者や観光客、係員の声がするのだ。

そしてフロントでは受付係員が、今はインド語で応対をしている。

「いつもながら、すごいわねえ・・・」

そんな光景を横目に、ミサキは正面玄関を出た。

装着しているロケットベルトを確認し、周辺に人がいないのを確認すると、ゆっくりと飛び始めた。

今日は空からの巡回なのだ。


空からの巡回は、空中から見下ろしての見回りと、スカイスポーツ中の者の安全確認及び危険行為防止である。

ジャンル問わず乗り物に乗ると競争し合ったりする者がでてきたりする。

また、飲酒した後に乗り物を運転する者も出てくる。

しかしあくまでミサキ達の仕事は『安全を守る』及び『危険防止』であり、強制はできない。

なので注意及び警告を無視して危険行為を続行する者がいれば、島のポリスに通報して『お持ち帰り』してもらうのだ。



ピーピーピーピーピーピー

ミサキの腰に携えている無線機が鳴った。

「はいミサキです」

空中の巡回でも無線のやりとりはある。

「迷子発生。複数だけどお願いね」

無線の主は、フロント受付係だった。彼女がウーフーアイランド中の安全管理や巡回中の隊員に指示を出したりしているのだ。

「了解。場所はどこですか?」

ミサキが返事をした。

「タウンとレッドゲートブリッジとキャンドルムヨーノと風車の場所辺りの合計4カ所なの。」

「・・・何ですかその大雑把な迷子情報・・・。探すのだけでも大変そうですよ」

「迷子は人間じゃないの」

「・・・へ?」

間抜けな声をあげるミサキだったが、

「あー、犬とかですか?複数で散歩してたらリードが切れたり外れたりとか」

と聞き返した。

「それなら空を巡回中のミサキに連絡しないわよ」

「・・・ですよね」

ミサキは、ウーフーアイランド内での規定外スカイスポーツをする者が複数乱入して、その人達が迷子になってるのかな、と思った。

スカイダイビングやバードマンなどは規定外で禁止しているのだ。

(追加説明:スカイダイビングはSFC版とN64版、バードマンはN64版の種目で3DS版にはありません)

「迷子は子UFO、小さなUFOが4機なの。テンガ・マナンガ火山の南東で、マザーシップが待ってるから、

 4機とも捕まえて、連れて行って頂戴ね」

「は・・・。UFOですか」

迷子の種類(?)が予想外なので、少し力が抜けた感じでミサキが言った。

「ミサキならできるわよ。お願いね」

「・・・あ、はい。了解しました。行ってきます」

そうミサキは返事したものの、なんだか釈然としないものがあった。

「・・・とはいえ、迷子は迷子なんだから、行かなくちゃ・・・」


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