「5時25分前、っと」
マリオはフクロウのオブジェで時間を確認した。
そして彼がいる場所は、闇の世界の聖地の南にある森だ。
「夢での話通りなら、イサムはこの場所に居るはずなんだが」
もちろん、夢で受け取った話通りに、事が進むとは限らない。
もしかしたら、イサムの身体を材料にして作成されたスピリットが仕掛けた罠の可能性もあるのだ。
「ただ、単に『危ないから、やめよう』というのは避けたいんだ。それでは何も前に進まない。
謎な物があったら、足を踏み入れるとまではいかなくても、
何なのかは見てみるだけは、しておきたいんだな・・・」
マリオがつぶやいた。
ホーホーホーホー・・・
オブジェのフクロウが大きな音を立てた。
それと同時に、森の一部の木の集まりが開き、道を作り始めた。
「話していた5時20分前の時間になったのかな・・・」
「罠なのか、それとも、何かが俺を呼んでるのかは、俺が決める事だからな」
木の集まりが開いて出来た道を、マリオは進んでいった。
やがて、道の向こう側に、人がいるのを発見した。
「-----イサムか?」
一歩一歩、その人物の方へ、マリオは歩いて行った。
そこにいたのは確かにイサムだった。
しかしイサム本人ではない。
イサムの身体を材料にして造られたスピリットだった。
外見はイサムと全く同じだが、目が赤く光っているという、スピリットの大きな特徴がある。
彼は前方を睨みつけ、腕を組み、仁王立ちしていた。
ずっと、誰かが来るのを待っていたのだろう。
ガタイのいい男が、前方を睨みつけ、腕を組み、仁王立ちしている、そのイサムの姿は-----
「・・・まるでラーメン屋の店主の写真みたいだな」
そう言いながら、マリオは苦笑していた。
イサムの母体を救助するには、このスピリットを倒さなければならない。
マリオは、イサムのスピリットへ近づいて行った。
そこへ、声がした。
『排除しろ!』
イサムのスピリットを造り出したダーズの声だ。
もちろん排除対象はマリオである。
「はい・・・」
と、イサムはシンプルな返事をし、マリオの方へと近づいて行った。
「お・・・。バトル開始か・・・」
一歩一歩近づいて来たイサムを見て、マリオが言った。
しかし近づいて来たイサムは、ゆっくりと両手を前に突き出した。
その両手の先には、マリオの首がある。
「おいちょっと待て!その手の構え方は何だよ!」
そのマリオの声を無視し、イサムは近づきつつも両手は前に突き出した構えであった。
「排除って・・・そういう意味かよ・・・!?」
スピリットは母体となっている者を材料としている。
なのでイサムの場合、同様にスピリットも格闘で戦いを挑んでくるはずなのだが------
一歩一歩、イサムがマリオに近づいていく。彼の両手の先は、マリオの首だ。
やがてその両手が、マリオの身体を掴んだ。