ところが、イサムの両手が掴んだのは、マリオの首ではなく両肩だった。
「両肩!?こんな所を掴んで何する気だよ!?」
ただただ驚くマリオだったが、イサムはそれを無視し-----
マリオの体を半回転させて、反対向けにした。
「おい、どうする気なんだ・・・?」
今マリオは、イサムに背中を向けてる状態である。
イサム本人だと背中向けるのは別に問題はないが、今いるのはイサム本人ではないのである。
-----背をむけたらマズイ!
慌ててマリオは方向転換しようとしたが・・・
グイッ!!と激しい音がした。
イサムがマリオの服の襟の後ろ側を掴んだのだ。
そして、その掴んだ手は、強引に持ち上げられた。
「お・・・おい!」
マリオが大声をあげた。
「おい待て!おい待て!おい待て!!」
服の襟の背中を持ち上げられたマリオは、そう言うしかなかった。
襟の背中を持ち上げられたという事で、首が締まってしまうという事だ。
慌ててマリオは掴まれた側の反対側、つまり襟の前方を引っ張り始めた。
そうしないと、首が締まってしまうのだ。
マリオの体を持ち上げていたイサムは、しばらく歩くと、やがて、マリオの体をポーンと放り投げた。
直後、ドサッ!と激しい音がした。
イサムは、パンパンと両手の平をはたく音を何度かさせると、さっき立っていた場所へ戻っていった。
そして、さっきまで立っていた場所に戻ると、彼は大きな声でこう言った。
「排除しました!」
当然の事ながら、ダーズが命令した排除とは違う形の排除である。
なので『意味が違う!』と、声がしたのは言うまでもない。
放り投げられた側のマリオが言った。
「ああ、”排除しろ”って言われたから、その通りに物理的に俺を排除したんだな」と。
『では改めて指示をする。・・・侵入者を始末しろ!』
ダーズの声がした。
すぐさまイサムが返事をした。
さっきの命令と同様に、「はい・・・」と、シンプルな言葉で。
放り投げられたマリオは、立ち上がると、ゆっくりとイサムの方へ近づいていった。
やがてその行動に気づいたイサムは振り向いた。
少々距離はあるが、お互いに面と向き合った状態ではあった。
バトル仕切り直しである。
一旦マリオは様子見として、ポンプ攻撃を始めた。
ジャー!っと音をたて、大量の水が勢いよくイサムの方へ放たれた。
攻撃を受け、イサムは後ろ向きに引きずられた形で仰向けに倒れたが、
すぐに起き上がり、濡れた顔を両手でぬぐい始めた。
そして体制を整えたところで、再度またマリオがポンプ攻撃をした。
これは一つの作戦であった。
実はイサムはリーチが短いため、これが飛距離が長い攻撃や長物(ながもの)持ちの者に対しての弱点となっている。
これをマリオは逆手に取っていた。
当然の事ながらイサムの方も、飛距離の長い攻撃に対してまったく対処ができないわけでなく-----
今度はマリオはファイアボールを放った。
イサムはそのファイアーボールが自分に当たる直前にシールドを張り、素早く回転しながら前方に移動した。
これにより、離れている距離が縮まった。
ここからイサムの反撃が始まった。拳を何度も繰り出し、キックする。
そして少し後ろに下がり、砲丸を投げ始めた。
投げた砲丸は外れてしまい、再度砲丸を投げ始める。
ところが2回目に投げた砲丸は、マリオにマントではじき返されてしまった。
マントによる飛び道具返しは、投げて来た時の1.5倍のダメージになる。
イサムに跳ね返って来た砲丸は、ゴチッと音をたてた。
その跳ね返って来た砲丸により、一瞬隙が出来たイサムを、マリオは掴んで攻撃をしようと近づいて行ったが、
彼は逆に体を掴まれてしまった。
いや、この掴み方は、通常の“掴み”ではなく----
イサムはマリオを掴んだまま高く飛び、回転すると、頭を下にした状態で、地面目掛けて落下していった。
スープレックス技である。