突然、『何やってるんだ!』と声がした。
ダーズの声である。
その声に反応するかのごとく、イサムが「すみません・・・」と言って、起き上がろうとしたが----
『お前じゃない。そこのヒゲの奴だ』
少し間を開けてマリオが「・・・あ、俺か」と言った。
マリオは、まさか自分が呼ばれるとは思っていなかったため、返事が遅れたのだった。
『お前はこいつを倒しに来たんじゃないのか?』
ダーズが聞いた。
「確かにそうだけど・・・」
『今なら倒しやすいぞ』
「・・・確かにそうなんだけどな。具合悪そうにしてるヤツに、攻撃はしづらいからな・・・」
『それは医者としての言い分なのか?』
(当スマブラ小説ではマリオとDr.マリオは同一人物の設定です)
「いや・・・。医者とかじゃなくても、相手が具合悪そうだと、さすがに攻撃しづらいだろ」
しばらくして、ダーズの怒鳴り声がした。
『おい戦え!何している!』
怒鳴られた側のイサムが、「すみません・・・」と言って、再度立ち上がろとした。
そんなイサムに、「おい!無理すんな!」とマリオが大声で言った。
しかし当然の事ながらダーズが、
『おいヒゲの奴。そいつを倒さないと、ここにお前が来た目的が果たせないんじゃないか?』
と言ってきたのだった。
ふらふらになりながら、イサムが立ち上がった。
しかし、前向きに倒れてしまった。
それをマリオが受け止めた。
「無茶するな!そんな状態じゃ、戦うのは無理だ!
・・・身体が持ち直したら、改めてお前を倒しに来るから・・・今は安静にしろ!」
しかし、そんなマリオの話を無視して、イサムは、全く形になってないものの、戦おうとし始めた。
「おい!何してるんだよイサム!」
マリオが怒鳴ったが、思わぬ言葉が返ってきた。
「イサムって誰だ?」
「えっ!?」
思わぬ言葉にマリオは困惑した。
「オレは、この場所を守るために造られたスピリット・・・そんな名前の者など知らぬ」
「そうか知らないのか。お前を造るための材料として、使われていた者の名前なんだ」
「・・・」
「つまりお前を倒せば、材料として使われていた母体側のイサム本人を助け出す事ができるって事だ」
しばらくして、ダーズの声がした。
『・・・もう、お前なんぞ要らぬ!』
その声がした直後、ビリビリと辺りの空気が震える音がした。
そして-----
サラサラサラ・・・という音が、し始めた。
「-----!」
イサムの身体が、端から少しずつ、砂のように崩れ始めていた。
「あ・・・あ・・・」
崩れ始めているイサムが、声にならない声をあげていた。
「お・・・おい・・・」
マリオは驚いたものの、かける言葉が見つからなかった。
「あ・・・あ・・・」
消えながら、イサムが言葉を発していた。
「おい待てイサム!」
マリオが声をかけたが、イサムは、
「オレはイサムじゃねえ・・・」
という言葉を返しただけだった。
「お・・・オレは・・・消えたくない!戦いに敗れて消滅するならともかく!・・・た・・・たす・・・」
イサムがそう言うと、彼は両手で自分の口をふさいだのだった。
先程の気分が悪いのとは違い、口から出そうな言葉を、手で塞いだ形となっていた。
おそらく“たすけてくれ”と言いたかったのだが、
自分を倒しに来た相手に助けを乞うという事は、したくなかったのだろう。
やがてイサムの身体が全部砂のように崩れると、吹いて来た風と共に、その砂は飛んで行ったのだった。
「あ・・・。ああ・・・イサム・・・」
マリオの声もむなしく、砂のように崩れたイサムの身体は、やがて風に乗って飛んで行った。