「勝負あり!勝者、青い服の剣士!」
審判のその声が上がると、ワーーー!っと歓声が上がった。
今日は、Miiファイター選考戦の日であった。
スマブラバトルイベント開催地の一角にそびえ立つスタジアムで、選考戦は行われていた。
選考戦は制限時間2分。
短いような気がするが、選考戦に参加するMiiは本当にたくさんいるため、これぐらいにしないと、とんでもなく時間が かかってしまうのだ。
トーナメントによるもので、1度負けると敗退なのである。
今回の選考戦の雰囲気は、前回より熱気に包まれていた。
前回の選考戦で敗退した者による「今度こそは!」という熱意による物である。
しかし、熱意だけでは勝てるわけでなく-----
「勝負あり!勝者は、黒い服の射撃手!」
負けが確定した瞬間、その場で泣き崩れた者もいた。
ところが、妙にポジティブな者もいた。
負けが確定して愕然としたものの、
「よーし!その次のスマブラこそは、出場するぞ!」
と、改めて意気込んで帰って行った者もいた。
「その次のスマブラって・・・。いつになるだろう。何年後だろ・・・」
その人の試合を判定した審判が、驚きながらつぶやいた。
やがて、選考戦で勝ち残った人数も減っていったのと同時に、敗退していった者も増えていった。
敗退した者は、すぐに帰国していったが、中には帰らずに、とどまる者もいた。
もちろん、すぐに帰らなかったのは意味があった。
「勝負あり!勝者、オレンジ色の服の女性射撃手!」
ワーーー!!と、歓声が上がった。
「よって、射撃手の選考戦優勝者は、このオレンジ色の服の者に決定とする!」
審判がそう言うと、さらに大きな歓声が上がった。
しばらくして、次に格闘、そして剣士も、選考戦での優勝者が決まっていった。
三種類とも優勝者が決まったという事で、今度のスマブラに出場するMiiファイターが決定した、という事になったのだが-----
それでも帰らない敗退者がいた。
「まだ自分にもチャンスがあるんだから!」
彼らは、そう言っていた。
Miiファイター選考戦には敗者復活戦という物はない。
まだチャンスがあるというのは-----
『前回出場したMiiファイターの再参戦は不可。万一選考戦優勝者と前回のMiiファイターと同一人物が発覚した場合は、再度選考戦を行います』
という規定の文章であった。
つまり「選考戦優勝者が、前回のMiiファイターが顔を変えて別人に成り済ましていた可能性もある!もしそうだったら、自分にもチャンスが・・・」という事であった。
この後、選考戦優勝者が前回のMiiファイターと同一人物ではないかの確認の検査が行われる。
選考戦スタジアムの隅にある、簡易医務室で行われるのだ。
場所は変わってスタジアム隅の簡易医務室。
そこにはDr.マリオがいた。
「やあ初めまして」
彼は選考戦優勝者3人に、そう言った。
「は・・・初めまして」
「よろしくお願いします」
「・・・お願いします」
硬くなって言葉にならない返事が、Dr.マリオへ返っていった。
「まあ、そんなに緊張しなくていいから。リラックスして。
・・・って、無理な話かもしれないけどな。なんせ3人とも、選考戦優勝者だからな!」
そんな言われ方されて緊張するなと言われても無理な話だ。
「・・・さて本題に入る前に。3人とも、規定には同意していますね?」
Dr.マリオが聞いた。
「規定・・・。本人確認のための検査ですよね」
「もちろん了承しております」
「書類にこの件は同意にチェック入れて提出しています」
どちらかというと、今更確認されても困るといった反応だった。
「それなら問題ないですね。では、あなた方3人を、前回のMiiファイターと別人かどうかの確認のための検査をします。それでは利き手と逆側の腕を出してください」
Dr.マリオはそう言うと、アルコール脱脂綿を手にした。
-----数十分後。
スタジアムのスピーカーから音声流れた。
「選考戦優勝者は、前回のMiiファイターと別人だという事が明らかになりました!
これにより、今回のスマブラのMiiファイターの3人が決定いたしました!」
ワーーー!という歓声があがった。
それと同時に、まだチャンスがあると居残っていた敗退者は帰っていった。