時は経ち、forと呼ばれるスマブラバトルイベントは、閉会式が行われ、幕が閉じられた。


大勢のファイター達は各自、帰国準備を始めていた。



「この衣装着るのも、今日が最後なんだな・・・」

感傷的にタツヤが言った。

選手寮の自分の部屋の姿見の前で、バトル用のノーマルスーツを着て、ポーズをとってみる。

そして何枚か自撮り写真を撮ると、彼は脱ぎ始めた。

そして脱いだノーマルスーツを畳むと、紙袋に入れた。

紙袋には、おなじみのスマブラのマークが描かれている。


実はMiiファイターの衣装は貸与で、バトルイベントが終了すると返却する決まりとなっていた。

他の世界を模した衣装も、同様に返却する。

これは持ち帰っての転売や盗難を危惧した事による決まりではなかった。


スマブラバトルイベントが開催されていた土地には、歴代のスマブラバトルの資料館となる場所があり、

使われていたアイテムや、バトル中のトラブルやイレギュラー的な出来事の記録や写真、

バトルステージを再現したミニチュアが飾られており、

Miiファイターの衣装も、そこに飾られる。

衣装も置いて展示するのではなく、着ていたMiiファイター本人の顔を模したマネキンに着せるのだ。


ノーマルスーツ及び他の世界を模した衣装も返却するという事もあり、

Miiファイターだった者たちは、来た時と、そんなに荷物の量は変わらなかった。

持ち帰りOKの物は、選考戦優勝者及びスマブラファイターの証の手紙と、

他のファイターからもらったり交換したりして入手した物だけだった。




やがてファイター全員が帰国して、しばらく経った。

かつて乱闘していた者達は、日常を取り戻した。




しかし有名人がたくさん出場する大規模な大会があると、「参加者が使っていた品物」と称する物が出回ったりするのだ。

もちろん、そういうのは偽物だったりするのだが------

Miiファイター達の衣装が、バトルイベント期間終了後に返却の決まりがあるのは、

歴代スマブラ資料館に飾る以外にも、巧妙な造りの偽物が出回るのを防止する為でもあった。


「確かにスマブラには参戦したものの、我々にはそういう事には関係ない」

かつてのMiiファイター達は、そう思っていた。

「私達は、あくまで大規模な大会に参戦しただけで、もともとは無名の選手だから」

「スマブラバトルイベントで貸与されていた品物は、全部返したし」


しかし彼らに、思わぬ質問が飛んできた。

「いわゆる『お宝買い取り業者』に、スマブラファイターの招待状が持ち込まれたりしてるんだが」


実は招待状をもらった者は、その招待状をどうしようと自由なのだが、

売ったりするようなファイターはいないはず・・・


「ああ、もちろん招待状は、バトルイベント終了後は、どうしようと本人の自由だからな。あくまで確認だ」

そんな事を、かつてのスマブラファイター達はもちろんの事、かつてのMiiファイター達も聞かれていた。

もちろん、質問主はマスターハンドである。


「オレは、家の金庫に保管してます」

そう答えたのは格闘のタツヤだった。

「やはり大きな世界的イベントに参戦した証ですから」


「俺は、銀行の貸金庫に預けてます」

剣術のデレックが言った。

「俺の場合、重要書類扱いです」


「そ・・・そうか。確かに重要書類だよな・・・」

マスターハンドは苦笑していた。


「私は、鍵付きの可愛い小物入れに入れてるわ」

射撃のシュリの答えはこうだった。


但し、シュリの場合は違っていた。

信頼できる人に小物入れの合鍵を預け、自分に万一の事があったら、合鍵を使って招待状を取り出し、棺桶に入れて欲しいという考えであった。


やはり大事に仕舞っておきたいと思う物に対しての考えは、各自違っていたのだった。


しかしそれと同時に、

『自分を名乗って偽物の招待状を売ろうとする輩は、ぶっ飛ばしていいからね!』

と言っていたのは、同じであった。


次のページに進む

小説のページINDEXに戻る

トップページに戻る



とってもRuiな部屋♪
https://ruiroom.halfmoon.jp/